挟撃
トリア、リディアお姉さん、ジェフィスお兄さん。そして私、アルカ。
トリアが決めた通り、私たちはお姉様と戦った大柄なおじさんを相手にすることにした。
実はお姉様と一緒に戦いたかったんだけど……。
『ラダス卿はテクニシャンの極みです。技量が足りないアルカお嬢様は役に立ちにくいです。誤ってテリアお嬢様の背中を撃ちたくないのなら、今度は私の指示をどうか』
トリアの言葉に反論できなかった。……うぅ。
でもあのおじさんがお姉様の方に行けないようにするのも大事なことだよ。ここで気後れしているわけにはいかない。
私たちの陣形はトリアが最前線。ジェフィスお兄さんが彼女をバックアップし、リディアお姉さんは遊撃。そして私は後方から遠距離攻撃……という形。
そんな私たちの姿を見た敵のおじさんがニヤリと笑った。
「それなりに力はあるんだな。一度楽しんでみよォぜ!」
魔力で具現された手が巨大な魔槍を握った。直後、恐ろしい魔力の波がトリアを襲った。
それに対抗して、トリアは最初から全力を出した。
――『獄炎機関』臨界稼動
――『天風機関』臨界稼動
炎を含んだ突風がトリアを覆った。火炎の風と魔力の波が正面からぶつかった。魔力と魔力がお互いを激しく相殺した。
押されたのはトリアだった。
「くっ!」
――トリア式融合技〈炎風の巨人〉
トリアの両腕が火炎の風と融合して炎そのものになった。火炎が瞬く間に一帯を覆った。魔力の波がその炎に相殺された。
けれど、敵のおじさんはただ豪快に笑うだけだった。
「生ぬれぇ! もっと燃やしてみろよォ!!」
その瞬間、リディアお姉さんが敵のおじさんの頭上に現れた。機械的なマチェテを両手に握って。同時にジェフィスお兄さんが側面に突っ込んだ。
――『灰色の猿』専用結火剣術〈紅蓮の鎖〉
――狂竜剣流〈狂暴乱舞〉
爆発の斬撃と、無数の剣撃の乱舞。でも敵のおじさんは鼻で笑って槍を一度振り回した。巨大な魔力の怒涛がリディアお姉さんとジェフィスお兄さんを吹き飛ばした。
「きゃあ!?」
「うっ、クッソ……!」
けれど、そこに視線が向けられた間、トリアが敵のおじさんの目の前まで突っ込んだ。
――極拳流奥義〈極点粉砕〉
〈炎風の巨人〉の拳に莫大な魔力が凝縮された。敵のおじさんは今回も槍を振り回し、両攻撃がぶつかり恐ろしい衝撃波が周辺を襲った。二人とも衝撃波に押された。
敵のおじさんの笑いがさらに深まった。
「はっ、やっぱ魔力で臨時に作った腕は動きが鈍ぇぜ。いいハンデだが……おっとっと!」
私が発射した矢の弾幕を、敵のおじさんはただ槍を一度振り回すだけで全部防いだ。けれど、その間にトリアが気合いを出しながら腕を突き出した。炎風になった腕がまるで火山が爆発するかのように凝縮された炎を吐き出した。そして敵のおじさんの後ろではジェフィスお兄さんが剣を向けた。
――狂竜剣流『加速』専用技〈閃光の爪〉
まるで閃光のような速度で飛んでくる剣撃。しかし、敵のおじさんは鼻で笑った。
「足りねぇぜ! 全然!」
槍が起こした魔力の風圧が炎風を吹き飛ばし、ジェフィスお兄さんの斬撃は腕で受け止めた。魔力を含んだ拳がジェフィスお兄さんの腹部を殴り、槍が激しい魔力の叫びを吐き出してトリアを押し出した。
その瞬間敵のおじさんの後頭部に舞い込んだのは赤い宝石の魔弾。でも魔力の障壁が展開され、それを防いだ。
……強い。
でも私も、そして他の人たちも。誰一人あきらめたり絶望した様子はなかった。
あの敵のおじさんが誰なのかは分からない。でもここに来る途中、お姉様があの人と激しく戦う気配を私たちみんなが感じた。
この前私と模擬戦をした時よりももっと強猛で激しかった魔力の波動。これが本当のお姉様の全力なのかと思い、お姉様がその力を振り回して戦わなければならないほどなら一体どれほど強い存在なのか怖かった。
すでにそのような恐れを経験したので、今さら体がこわばってしまうことはない。
――天空流〈星の翼〉
私の背後に凝縮された魔力の矢が展開された。反撃を防いだトリアも腕の炎風をさらに大きくし、リディアお姉さんは狙撃小銃に魔弾を装填した。ジェフィスお兄さんも剣を握り直して姿勢を整えた。
敵のおじさんはそんな私たちの前で豪快に笑った。
「面白ぇ。さあ、実力見よォか!」」
彼が歩を踏み出した瞬間、私は矢を弓に装填した。
――アルカ式射撃術〈ホシクモ〉
浴びせられる矢の弾幕。敵のおじさんは一度の振り回しで迎撃しようとしたけど……甘いよ。
技巧に乏しく力に依存すると言われる私だけど、言い換えれば
「ウオッ!?」
矢雨の半分以上が魔力の波を突き破って敵のおじさんに命中した。大きな傷は与えなかったけれど、槍を振り回す腕が鈍くなった。
その隙を狙ってトリアとジェフィスお兄さんが前後から攻撃を浴びせた。敵のおじさんは槍を次々と振り回し、それらすべての攻撃を打ち返した。けれど、リディアお姉さんがその隙を狙って撃った魔弾が脇腹に命中した。爆発が起き、敵のおじさんのバランスが崩れた。
その時、私はすでに次の矢を装填していた。
――アルカ式射撃術〈願いの星〉
ただの一発。でもこの戦いを終わらせるという覚悟が込められた一発が、私の手を離れた。矢は高密度の魔力が凝縮された流星となって空を切った。
「くはぁ!?」
矢じりの先端が腹部の肌にそっと食い込んだ瞬間、敵のおじさんの手が矢をつかんだ。でも矢の力を抑えることができず、遠くに押し出された。
その矢から放たれた魔力が別の技を構築した。
――白光技〈絶望の牢獄〉
魔力と四肢を封じる制圧の結界。私が使える最高の拘束技。それが敵のおじさんを束縛し、太山よりも巨大な魔力を抑えた。
「素晴らしいです!」
トリアたちは一斉に敵のおじさんに飛びかかった。動けない今終わらせようとしているんだろう。
けれど……こんな状況になったのに、敵のおじさんは相変らず笑っていた。
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