その言葉は、永久に。
この《階層都市》テサウルムは、三区分された十一の階層から構成されている。
階層都市の一番上にあり、《楽園》に一番近いと言われている階層が
そこは力を持った者のみが居住権を与えられているエリアであり、その階層には貧困や格差というものが一切存在しない、文字通り最上位の人物だけが暮らしている。
その下が、
これら四つの階層を総称して上位階層と呼び、主に貴族が暮らす階層になっている。
次に、
テサウルムの中にある、唯一の教育機関のルーツ養成学園はこの中階層に位置しており、生徒の資格を持った者は、どんな階層出身者であっても中階層で暮らすことになる。
卒業後は、中階層以上の居住権を持つことができるという利点も、目指す一つの指標になっている。
そして、
この三つの階層から成り立つエリアは下位階層と呼ばれており、このエリアから大きく格差が生まれることとなる。
中位階層までに支給物資はほぼ底をついており、その為に下位階層で暮らす人々は機械兵器という〝死〟の危険を無理やり受け入れて、《中心都市》の外にある《危険都市》へと売る物を求める日々を送ることになる。
———その下に位置する
人々が暮らすエリアである、各階層にある《中心都市》。
《中心都市》の真ん中には、上への唯一のアクセス手段である昇降板が備え付けられており、そこから支給物資が降りてくることから、決まった日には大量の列ができる場所。
その昇降板を正面から見て左方向に進んでいくと《危険都市》があり、その場所には機械兵器と名付けられた金属の塊が闊歩している。
死の象徴とされる機械兵器に視認されたら最後、力を持たないものはこれ以上無いと思う程の地獄と苦痛、絶望を味わわされた上で惨殺されてしまう。
しかしそれ故に、入手難易度が極めて高い機械兵器の僅かな部品は高額で売れる。
その為、生活の為と《危険都市》に入っては命を落とす人々の後が絶えないのが実情だった。
そしてその地獄とは逆方向である右側には、《廃都市》と呼ばれるエリアが広がっている。
階層別に異なる《廃都市》。そこに入る為の門の前には門番が控えているが、貴族の別荘や、重要な文化財があるわけでもない。勿論、秘密の研究所があるというわけでもない。
その門を超えたら最後、その《廃都市》を攻略するまで出ることは叶わない。その中で蠢くは、《危険都市》の数倍もの〝死〟が待ち構えている魔境。
幼い子供や、度胸試しなどで入ろうとする若者などを間違っても入れるわけにはいかない。そういった至極当然の、守るための役割が門番に与えられているからだった。
何故、そんなモノが各層ごとに存在しているのか。
その理由が、残された文献などが一切無い《階層都市》にあるわけは無く、人々はその存在を必死に見ないことにして生きている。
———ある、一定の人種を除いては。
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