01-02話:【恋愛】「失われたもの」と「得られるもの」と(3人称)
夜が
「そろそろ決着をつけないとね」
大悟がこの高層マンションを出てから1年の月日が経つ。お互い愛し合っていたのに、お互い信じあっていたのに、お互い支えあっていたのに、小さな、そう、とても小さなすれ違いで、今にして思えば
そして
大悟がこの部屋を出ていった時、ゆきはその現実を受け止めることができなかった。なにかのサプライズだと思って信じて待った1か月、現実を受け止め大悟のことを忘れようと必死になった3か月、そして、すべてに絶望し悲嘆にくれた8か月。ゆきの1年はそんな悲しみに満たされていた。しかし、それは、大悟と心の中で真剣に向き合い、大悟を感じることのできた幸せな1年間でもあった。
急にベランダに
「そろそろ決着をつけないとね」
ゆきは心の中で再びつぶやくと、大悟との思い出と、自分の気持ちと、大悟に対する未練を断ち切ることを決意した。
ゆきは戸棚からゴミ袋を取り出すと、大悟とのすべてを、思い出の日々のすべてを処理することを心に決めた。一緒にとった写真、一緒に作った造形物、大悟が好きだったCD、大悟がいつも使っていた歯磨き粉。そう、これはゆきの1年前から止まっていた時を動かすための儀式といってもいいものであった。
しかし、そんな決意とはうらはらに
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