宛ての手紙

 サイドテーブルに積まれた封がそのままの手紙たち。






 セーラー服の少女は手紙を書く。






 今にも雪崩が起きそう。






 スマホが一般的でも鉛筆かシャーペンを執る。






 カーテンを揺らす暖かさ。





 ご機嫌な鼻歌を交えながら糊でしっかり封をする。

 



 

 優しい声と力加減、日課の運動が終わる。



 自動ドアをくぐり、受付に挨拶。


 栄養を投与。


 階段を軽々と駆け上がった。


 ぽた、ぽた、ぽたとゆっくり滴下。


 靴音が近くなる。透き通った声も近づいてくる。


 挨拶と共にカーテンが開く。

 少女はニコニコと笑顔で手紙を見せ、それからサイドテーブルにそっと置いた……――。

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