女子、トカゲを拾う

 深夜3時16分、道端でトカゲがお腹を空に向けて倒れていた。

 立ち止まったのは、着の身着のままの少女。

 トカゲは掌サイズで時々すべすべのお腹が膨らんだり、へこんだりを繰り返す。

 少女は通り過ぎることもできたが、躊躇なく掬い拾う。

 予想していたよりも冷たい、お腹以外は分厚い鱗で纏われている。

 手指の温もりにトカゲは縦の瞳孔を動かす。

 自力で素早くその場で回転しながら体を起こした。

 傾げるように顔を動かし、大きな目はジッと少女を見つめる。

 思わず虚ろな瞳を逸らす。

 ゆっくり目線を戻す。

 縦の瞳孔はジッと少女見つめている。

 どこか愛らしく目を細め、長細い先が二股になった舌をチロチロと出している。

 また、少女は虚ろな瞳を逸らした。

 ようやく少女は考え込む。

 それから表情を微かに緩めた。


 少女はトカゲを連れ帰った……――。

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