不定期投稿作品置き場

空き缶文学

始まり

 雨が降っている。

 小さい公園。

 レインスーツを着た5才ほどの女の子はジッと砂を見つめる。

 正確にはセミの死骸を見つめている。

 雨粒が砂を抉り、同時に埋もれていく様を見守っていると、アリが少しずつ増えていく。

 感情を無にして、頭の片隅に新たな知識を埋め込むようにじわり、と拡がる。


「早く入りなさーい! 風邪引くわよー!」


 家から呼んでいる、母親の声にハッと目を大きくさせた女の子は明るく返事をして踵を返す……――。


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