第16話 目的

 「で?お前達はなにが目的だ」


 俺は目の前にたたずむ男達に向かって睨みながら質問した。


 「まあそんな急ぐなよぉ。俺の名前はエンファだ。一応名乗っておく。確かお前の名前は……リウスで合ってるか?」


 「あっている」


 「そうかそうかぁ。それは良かった。それでは話の本題に入ろう。お前、こいつに気に入られているよなぁ?」


 ニヤニヤとした顔で俺を舐めるように見ながら、エンファは興奮する気持ちを抑えるかのように深呼吸をした。


 「それでだ。俺たちの目的はな、このガキだ」


 「なぜミミィを狙う」


 「そう答えを急ぐなよ。まあ俺たちがこのガキを狙う理由はな、マラオス王国にコイツを捕まえてくるように依頼が来た」


 「マラオス……王国……」


 マラオス王国は俺最近まで住んでいた国だ。でもなんでマラオス王国がミミィを狙うんだ……?


 「ん?お前さぁ、もしかしてマラオス王国の人間?」


 エンファは俺の顔を下から覗き込むようにして、軽く笑った。


 「くははっ!こりゃ面白え!まさか自分の仲良しのやつを捕まえるように依頼したのがまさか自分のいた国だったなんてよぉ!」


 「それで、なぜマラオス王国はミミィ狙うんだ?」


 エンファはまだわからないのかと言う表情をしながら俺の質問に答えた。


 「なぜってよぉ。お前、獣人の国があるのは知ってるだろ?それでこのガキはよぉ、その国の王の娘だからだ」


 ミミィが獣人の国の王の娘……?なら今頃国は大変なことになっているだろう。


 「それでな。マラオス王国の王は獣人の国に戦争を仕掛けたいらしい。それでこいつを人質とすることで戦争を有利に進めるんだとよ」


 マラオス王国が獣人の国に戦争を仕掛けるだと!?それじゃあ魔獣を殺す話はどうなるんだ?


 「実はよぉ、マラオス王国にスパイを送っておいてな、今の情報は全部そいつから伝えられたことなんだが、ここらいったいの魔獣を殺す話が出てたらしいんだが、どうやら獣人も一緒に殺す話になっているらしい。それでな、10位から1位のギルドも戦争に参加するんだとよ」


 10位から1位のギルドも参戦するだと!?国王はそこまでして獣人と魔獣を消し去りたいのか?でも今伝えられた情報は本当の情報かはわからない。なんせ敵の情報だしな。


 だがもし今の話が本当だとしたら……どう頑張っても勝てるわけがない。


 「なあ、お前は1位のギルドのリーダーの強さを知っているか?」


 エンファは自分の爪に目を落とし、なぜかつまらなさそうに答えた。


 「さあな、ただ人間じゃ考えられないような強さとしか知らないな」


 「まあ大体合ってる。なんてったってあいつの強さはなぁ、魔王に匹敵するほどの強さだからだ」


 


 


 

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