第17話 ギャンブル

 「魔王に匹敵するほどの強さ……」


 俺はエンファの口から出た情報に言葉を失った。


 「そんな……魔王……?あの……魔王にか……?」


 魔王――この世界に4体存在し、この世のもの全てを支配するために争う者たち。それが魔王。魔王間で戦争が起きると4つから5つの国が滅ぶと言われている。


 だが今はまだここら一体地域はどの魔王にも支配されず、マラオス王国が魔王軍が侵攻してきては軍やギルドを派遣し、対抗してきた。


 「その情報……確かなんだろうな」


 「ああ、勿論。正真正銘、事実の情報さ」


 と、言われても信じれるわけねぇんだよな。


 だが、俺はこの話の信憑性は高いと思っている。なぜ今までここら一体の地域は魔王の誰にも支配されずにきたのか、なぜ軍やギルドだけで魔王に対抗できたのか。


 それは1位のギルドのリーダーが魔王に匹敵するほどの力があるから、と考えれば辻褄が合う。


 「まあ、今頃だがちょっと長話になりそうだしそこに座れよ」


 エンファは俺の近くにあった机と椅子を目でさした。だが当然ホコリはかぶっている。


 「なら遠慮なく」


 俺はミミィに手出しされないように、エンファの指示に従った。


 「座らせてくれるのはありがたいが、もう少し綺麗にして置いたらどうだ?」


 俺は、椅子にかかるホコリや蜘蛛の巣を手で払いながらエンファを見た。


 「仕方ねぇだろ。此処物置なんだからよぉ。おい、このガキ持っておけ」


 エンファは近くにいた男にミミィを渡し、俺の前の椅子に座った。


 「おいリウス、俺を人質にとってガキを解放してもらおうって考えがあるならやめときな。俺はいつ死んでもかまわねぇからよ、俺を人質に取ろうとするのは愚案だぜ」


 「これは忠告どうも」


 そんな一か八かの作戦なんて俺には最初からするつもりはねぇよ。

 

 「ていうかさ、お前、なんで俺にベラベラと情報流すんだ?」


 なぜこの男は俺に情報を流すのかが意味がわからない。ミミィを届けることが目的なら俺と話さずさっさと連れて行けばいい話だ。それなのになぜこの男はベラベラと俺に情報を教えてくるんだ?


 「さっきなぜ縄で縛らないのかって俺に聞いてきたの覚えているか?」


 「当たり前だろ。あれは紛れもない事実だったからな。あの時は頭にきたぜ」


 俺の答えを聞くなり、エンファは自分のポケットに手を入れ、一つの箱を取り出し、机の上に置いた。


 「これは……トランプか?」


 「そう。正解だ。これはごく一般のトランプ」


 エンファは箱を取ると、中から一枚のカードを取り出し、俺の目の前に置いた。


 「このカードの数字と柄を当ててみろ。お前にはそれができるかな?」


 

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