第15話 誘拐

 ここは……?どこだ……?


 俺は重いまぶたを開けると、真っ暗な場所に閉じ込められていた。


 俺はなんでこんなところに……あぁ、そうだった。急に魔獣と人間に囲まれて気絶させられたんだった。


 そうだ……ミミィは!?


 クソッ!どうしてすぐに気絶してしまったんだ!


 俺はここがどこか確認するため目を凝らした。すると次第に目が暗さに慣れ始め、なんとか見えるようになってきた。


 ここは物置か?


 あちらこちらに物が散乱しておりホコリもかぶっていた。


 「汚ねーところに閉じ込めやがって……」


 とにかくミミィを見つけないとな。


 俺はドアらしきところまで近づきドアノブを回してみた。だが、当然鍵がかかっていて開くわけもなかった。


 「なら仕方ないか。このドアを破壊して」


 ガチャッ


 俺が強引な手段でここから脱出しようとした時、ドアノブから鍵が開くような音がした。敵に備えるため素早く後ろに下がり、身構えた。


 「あれ?起きてんじゃん。まあいいか。起こす手間も省けたし」


 ドアが開けられるとそこには5人の男達と、


 「……ッ!?ミミィ!」


 「りう……す……」


 顔に傷を負い、手を縛られているミミィがいた。


 「貴様ら……!」


 俺は目の前にいるリーダーらしき男を睨み、拳を握った。


 「おいおい。そんなカッカすんなよ。それに……」


 男は言葉を止めると、背中から出した剣をミミィの首に当てた。


 「妙な真似したら、こいつがどうなるかぁ、わかるよなぁ?」


 「……ッ!」


 俺は握った拳を緩め、両腕を上にあげた。


 「なぜ俺を縛っておかなかった」


 もし俺に危害を加えさせたくなければ、最初から手足を縛っておけばいい話だ。


 「あぁ、そんなこと?そりゃあ決まってるでしょ。お前がグロキュロスから逃げる時に使った謎の力……俺たちにはまだよくわからない。もし縄で縛って置いても、もしかしたらあの力で縄を切って俺たちがやられる危険がある。それに……」


 男はそこで一旦言葉を切り、ミミィの長い髪の毛を手に乗せながら俺に笑って見せた。


 「それになぁ、お前には俺たちを一瞬で殺せる力がある。にも関わらず、このガキの首に剣を当てればどうだ?お前は一切なにも出来なくなる。その無力さをお前には味わわせてやりーてのさ。クハハハッ!」


 俺は歯が砕けそうなぐらいの力で奥歯を噛み締める。もし俺が魔獣の力を使いこなせていればこんなことにはならなかったのに……。


 「どうだぁ?これがお前を縄で縛らない理由だ。いい理由だろ?」


 今の俺には、男の言う通りなにも出来ず、この男を睨むことしか出来なかった。


 

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