第5話・星の子供達。4
(´・ω・`)…。(主人公がこない。)
本を取り上げられてしまった…。
入学試験の日から特に何もする気も起きず宿でゴロゴロして過ごしている。
理由は、王都の夜空は明る過ぎるため、観測が出来ないからだ。
自分で作った四分儀はレンズが付いていない…。
大きな星しか見えないので何となくやる気が出なくなってしまった。
初日に深夜に外に出たら後で宿のおばさんに怒られたのも手伝って。
昼間に王都の見物に行く気も無くなってしまった。(元々手持ちも無い)
ベッドに寝転がり窓から見える狭い夜空を見上げる。
「明日は合格発表だ。このまま…。試験落ちてもビゴーニュへ帰れば良いか…。」
たぶん、僕はビゴーニュの空が好きだ。
入試会場で出会った貴族同士の会話を聞いてうんざりしてしまった。
「このまま王都で学園生活しても…。」
学問に専念できるだろうか?
なんとなく…。
あのビゴーニュ様のお嬢様は立ち去るときの笑顔…。
何か面白い玩具を見つけた様な微笑みだった様な気がして成らない。(危険察知+3)
絶対に係わってはいけない…。
「でも、本返してもらわないと。」
ご領主様は言った事は絶対に行う方だ。
僕のことを覚えていれば返してくれるだろう。
しかも、早速学園でトラブルを起こしていると覚えられる。
「いやだー!」
ベッドの中で顔を埋めて叫ぶ。
気が付いたら朝になっていた。
そのまま眠ってしまって居たので急いで身支度を整え、食事を取って、学園に向かう馬車に乗る。
乗合馬車を降りると…。
ぞろぞろと学園の正門に吸い込まれて行く少年少女達。
まれに貴族の馬車も通る。
貴族は学園関係者の出迎えのある校舎のロータリーで降車している。
少年達は校舎の裏手、魔法実習場へ向かっている…。
それに続いて歩く。
正直緊張はしない。
もう、落ちてもいいや…。
落ちたら邦国で猟師にでもなろう…。(#◎皿☆´)キュピーン!
母は反対するだろう…。
古い焼け焦げた壁の前に受験生が集まっている。
皆、受験票の木札を握って…。
注目するのは布が掛かった大きな足場だ。
「そろそろ時間だ準備しろ!」「「「ウェーイ!」」ヒャッハー!」
途端にざわ‥。ざわ‥。
し始める少年少女達。
時計塔の鐘が鳴る。
「はい、発表開始!」
布が落ちて…。
沢山の番号が書かれた木札が現れる。
クラスで合格発表だ、結果はそのまま教室名簿になる。
「うわーー。」「やった!」「受かったぞ!」
早くも自分の番号を見つけて飛び上がる少年。
「俺の番号ーーー!!」
二つの掲示板を見比べ自分の番号を探す。
「あった。俺の番ゴー!!」
他の受験生の熱気にちょっと引くが…。
順番に落ち着いて番号を追う。
「あ、あった。二組だ…。」
もう一度手元の
間違いない。
合格だ。
僕は二組のクラス合格だ。
「キャー!在った!合格よ!!」
目の前で元気な金髪の少女が叫ぶ。
飛び跳ねたのでぶつかる。
「あっ!ごめんなさい。うれしくってつい。」
少女がよろけて崩れる。
指差す先は二組の掲示板だ。
背中を胸で支える。
興奮する少女を支え立たせる。
「いえいえ、合格おめでとうございます。僕も合格です。」
何だろう?一緒に喜ぶ人がいて凄くうれしい。
「はい!ありがとうございます。」
お辞儀する金髪少女…。
涙を浮かべている。
「一人でこっちに来てやっと受かったんです。」
告白する少女に近親感が沸く。
「僕も地方からの受験生です。心細いのは解ります。」
「そうなんですね!」
こうふんのるつぼの少女。
「はい、落ちたら家族に何と言われるか…。」
「それ!判ります。」ズビシッ
「僕の名前はバリエンテと言います。同じ
正式に姿勢を正しお辞儀をする…。
なんでだろう?
「はい、私の名前はリリー・デ・フロンタルといいます。カ・ペー帝国出身です。」
げ、やっぱり多分この子も貴族だ。
それより…。
「て、帝国?」
「あ、ごめんなさい。魔法王国の南の方の方かしら…。」
「いや、ごめん。南の方では無いけれど、田舎の方の出なので帝国って言われると身構えちゃって。」
外国の人だ…。
初めて見た。
「うーん、でも。皇帝陛下と国王さまはもう戦争しないって言ってるし。」
「まあ、そうだよね。”デ”ってたしか”フォン”て意味だよね?」
「うん、そうよ。王国では男の人しか名乗らないようだけど。」
「貴族様なんだ。」
「うーん、私の家は10年前の戦争が元で没落しちゃったの。騎士で男爵家だったけど…。」
そうか…。
訳アリなんだ。
「そうなんだ…。」
「貴族なのは名前だけ。それも帝国南部でしか通用しないから。」
「大変なんだね。」
「そう、大変なの私たち兄妹も働かないと食べで行けないし、遠縁の親戚からお金借りて魔法王国の学園に来たのよ。」
うわー、すごい話だ。
ちょっと引く。
多分、貴族のパトロンと言う奴だ…。(ビゴーニュ領準拠)
「魔法学園を卒業すれば御金返さなくて良いの!魔法の先生の職も用意されてるの!!がんばるぞぃ!」
力強く拳を挙げる少女。
ああ、コレは…。
たぶん、生臭くない方のパトロンだ…。
「がんばって下さい応援します!」
「うん!!…。あ、ごめんなさい。こんな事話しちゃって。」
興奮から覚めた少女は頭を下げる。
「いいよ、僕も似たような者だから。」
拳を前に出す。
一瞬解らなかった様子だが恥ずかし気に二人で拳を打ち合わせた。
「イ、「イェーイ!」」
何と無くこの子と解り合える。
そうだ、僕達は同じ
初めて会った戦友なんだ。
(´・ω・`)…。(主人公は居まーす。)
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