第3話 手を組もう

前回までのあらすじ!


ブラック大学院生から異世界転生した私!


蔵書庫で魔王とエンカウント!


そしてなんか召喚できちゃった聖剣!


…うん、訳が分からないよ。


えーと、とりあえず、


「…なんか、私、運がいいらしいのよ」


「は?…運がいい?」


魔王が私の言葉に今度は困惑の表情を見せる、そして…


「…鑑定」


魔王はそう呟いた。すると…


「なん…だこれは…、クク、フハハハハハッ!」


なんか笑い出した。ええ…


魔王さん、感情の起伏がめちゃくちゃやん…


今度は私が困惑していると


「なるほど、確かにお前のステータスの幸運値は高い…いや異常だな」


「異…常?」


それにステータスって…ああ、これはリアの記憶にある。そのまんまRPGゲームみたいなやつで、鑑定魔法を使えば確認できるらしい。


「ああ、幸運値に関していえば、お前はこの世界で最大の値を持つ個体だ」


最大の値を持つ個体?でも…


「私、いきなり魔王とエンカウントして、殺されそうになってるけど?」


いくら聖剣があろうと、私じゃ魔王に勝てないだろう。聖剣持ちの勇者がボコボコにされたって話だし…


「…それに関してだが…お前、なんかまだ秘密を隠し持ってはいないか?」


「秘密?」


秘密?いや、まぁ…


「えーと、実は日本という国からの異世界転生者だったことをさっき思い出した、とか?」


「は?」


あ、魔王が今度は固まってしまった。



「おーい」


反応がない…


…うん、チャンスか?この間に逃げてしまおう


私は後ろを向きこっそりと…


「まて」


「へぐう!」


首根っこを掴まれて魔王に捕獲されてしまった。


やばい、失敗した!


そのまま、魔王に運ばれ、おいてあった椅子に座らせられてしまった。


「…はあ、全くお前は…」


なんか魔王に呆れられている。解せぬ。


…なんか、むかつくからこの妙に軽い聖剣とやらを投げつけてやろうか?


「それを投げつけても、俺に傷一つつけられないからやめとけ」


「あ、はい…」


心読まれてるじゃん!


「お前が顔に出やすいだけだ」


また読まれた…てっ、私ってそんなに顔にでやすいのかなぁ…


「まあ、とにかく聞け」


「殺さない?」


「もう殺す気はないから安心しろ」


やった!なんか知らないけど助かったぽい!


「話を戻すぞ」


「えーと、わたしが異世界転生者ってところから?」


それが何かあるのだろうか?


「ああ…実を言うと…俺も異世界転生者だ、それもおそらくお前と同じ21世紀ごろの日本だ」


「はえ?」


え、でもでもでも。


「…魔王ってかなり昔からこの世界にいるんでしょ?」


「まあ、時間軸が違うんだろうな、この世界と元の世界では」


な、なるほど、じゃあ


「同郷ってこと?」


「まあ、そうなるな」


…何という事実、昔からこの世界の人類に恐れれられいた魔王が実は現代日本人だったとは!


「…そこで提案だが」


「提案?」


いや話が急展開過ぎて全然ついていけないのですが?


「…手を組まないか?」


はい?










「あのあのあの、ぜんぜんなにがなんだかわからないですが」


手を組む?どゆこと、どゆこと!?


「ああ、そうだな…まず、俺がこの大陸を征服すると宣言している話は知っているよな」


「あ、うん」


あの本に書いてあったやつ…


「俺がなぜそんな宣言をしたかわかるか?」


え、そんなの…そんなの、あれなんでだ?


征服するなら奇襲した方がいいだろう、なのになぜ事前に宣言を?



…うーん


「…なんか国際法にのっとってとか」


「そんなもんこの世界にはないな」


ですよねー…じゃあ…


うーん、魔王が征服を宣言すれば人類は警戒する…もちろん軍事のリソースだってそっちに振り分けるわけで…つまり


「…アル大陸の国家間の関係って割と緊張状態なの?」


「…ふ、案外察しがいいじゃないか」


と、いうことは


「人類同士が争うのを避けようとしている、と」


「まあ、端的に言うとそういうことだ、俺という脅威がある以上、人間同士は戦争したくともできないわけだ」


はー、なるほどね。うーんでも


「なぜ?」


人類同士が戦争した方が魔王にとっては得ではないの?


「…俺だって元は人間だ、人間同士の戦争、それこそ世界大戦にでもなりそうな状況を放っておけるか」


…なんと、魔王は案外人間よりだった!そういえば勇者をボコったって話だったけど殺したとはかかれてなかったね。


それにしてもこの世界って世界大戦が発生しかねないほど国家間の仲が悪いのか


あれ、でも


「私を殺そうとしてなかった?」


「あ?いや俺とあった記憶を消してほっぽりだすつもりだったから、別に殺す気はなかったな」


「え、じゃああの態度は!?」


「まあ、端的に言うと、お前で遊んでた」


「はぇ!?」


こ、この鬼畜野郎!マジで聖剣投げつけたろか!?


「落ち着けって、それで手を組むって話だが」


くっ、むかつくがどうせ私じゃ魔王に勝てないし…ここは素直に話を聞こう…。


でもねぇ


「なんで私と手を組むの?」


「それはお前が勇者だからだな」


え?


「勇者?私が?」


「ああ、聖剣を貸し与えられたってことは、お前が今代の勇者だな」


ええええええ!?


「…今から返却とかできないですかね、コレ」


私は聖剣を掲げながら言う。


「別に使わないときはしまっておけるが、お前が勇者であることは変わりないぞ?」


マジでぇええ、嫌なんですが、そんな大役…


せっかくブラック大学院生から抜け出せたのに、今度は勇者とか…


「でだ、実を言うと俺と言う脅威がある中でも、人間の国家同士の緊張は高まりつつあるんだ」


「まじですか」


War is never changes. って感じですねぇ…


…人は過ちを繰り返すって言う前にバグを繰り返すのをやめてくれませんかね、ベ〇スタさん。


おっと、やばい思考が逸れた


「そこでだ、魔王と勇者が裏で手を組めば面白いと思わないか?」


「面白いって…もしかして先の事はあまり考えてないの?」


「まあな」


断言しちゃったよ、この人!


「でも現状は割と手詰まりだ。だから手を組もうではないか」


えーと…どうしよう?


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