『恐怖! ギョウザ怪人あらわる』
やましん(テンパー)
『恐怖? ギョウザ怪人あらわる』
これは、フィクションです。
ある、あまりにも、うっとおしい、冬の夜であった。
やましんちの前に、一台のバイクと軽四輪自動車のあいのこのような、小型車両が止まった。
中から現れたのは、ギョウザの姿をした怪人である。
それは、身長190センチメートルはあろうという、長身である。
ギョウザ本体から、四本の触手が伸びていて、二本は足になっている。
他の二本は、腕に使われている。
当然だが、頭と首や胴体の区別はない。
触手は、胴体から現れていて、明らかに着ぐるみではない。
胴体には、ギョウザそのもののしわがあり、幾らかの焦げ目がある。
目鼻立ちは確認できない。
口も見当たらない。
まさしく、この世のものではない。
そいつは、車の後ろにあるボックスから、なにやら四角い箱を取り出したのである。
それから、やましんちの、インターホンを押した。
『…………あい。』
インターホンからは、精気のまったくない、死人のような返事があった。
『う……😱 あ、ちわ。銀河ギョウザです。』
『あ、ちょと、まってくらさい。おいくら?』
『へい。1500ドリムです。』
それから、家のなかで、なにやら、どたんばたんと、落っこちるような音がした。
『ぐぎゃ。』
という声も聴こえたのである。
しばしの静寂ののち、玄関内に灯りがともり、人影が、ふらふらと、ゆらめいた。
それから、鍵が外れる音がして、ついにその、不気味な年寄りの人が現れたのだ。
ギョウザ怪人は、右の心臓が停まるかと思った。
しかし、逃げ出すわけにはゆかない。
プロなのだから。
確かに、先輩たちからは、ここには、恐ろしい妖怪が住むと聞かされた。
いきなり、食われた先輩もいたのだという。
『あ、あ、あの、ギョウザです。』
『あ、ギョウザさん。はは、いや、3回目で、慣れたからね、らいじょぶ。前みたいに、間違えて、食べないよ。はい、1500ドリム。』
『あ、確かに。こちら、領収書れし。こちら、チキンギョウザれす。では、またよろしくお願いいたします。さようなら。』
『ごくろさん。』
早々に玄関から立ち去ったギョウザ怪人は、『ああ、怖かった』と、呟きながら車に戻り、そのまま、あっという間に、空の彼方に消えた。
やましんは、玄関先で中身を確かめながら言った。
『これ。チキンギョウザ。でかい。おいしかった。たまたま、自分達にそっくりだったギョウザをうまくアレンジし、地球向けに新たに開発したらしい。月支店から、わずか、15分で来るんだからね。すごいね。絶対的平和主義者のギョウザ星人に支配されたお陰かなあ。地球は平和になったし。年金も増えたし。あ、戦争好きの地球人パルチザンに聴かれたら、大変だ。』
🥟 🛸
くまくま
『恐怖! ギョウザ怪人あらわる』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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