幕間  俺はどうしたいのか

雪兎先輩が突然いなくなった。

 先生に聞いても、電話も通じないらしい。

 先輩のいないサッカー部室は、何だか張り合いがなかった。

「何か寂しいな。雪兎先輩、何処に行っちまったんだろうな」

「……ああ」

 俺は雪兎先輩との昨晩の会話を思い返す。俺に真実を語ったことと、突然いなくなったことは関係がある気がする。何故? 気まずくなったから? あの人が今更それくらいで失踪するか?


 練習を終え、結弦と共に寮の部屋に帰る。

「あのさ、結弦」

 俺は結弦に全て話した。

 先輩との出会い、初めて家に行ったこと、夏合宿、東京でのこと、正月に帰省したこと、秘密の部屋での昨晩の会話。そして、俺の子どもの頃のこと。

「その繋がりは、もう奇跡だな」

「暦さんは俺の命の恩人なんだ。あの人が庇ってくれたから、俺は今、生きてる」

「で、吉野。それを知って、お前はどうしたい?」

「先輩と、もう一度話したい」

「だったらさ、行くしかねえだろ!」

「おう!」


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