第4話 確実に迫ってきている違和感
さっきまで騒がしかった部屋が、急に静かになり違和を感じる。ほとんど自分が流暢に長々喋っていたから騒がしかったのだが。
なぜ自分がどもらずに話すことが出来たのか、話している時の自分もよく思い出せない。こんなことが起こるのは人生で初めてだった。
カッカッとアンティーク時計の短針が進む音が、独りの部屋に響く。その音はまるで、自由が奪われるまでのカウントダウンのように感じた。
何時間ぼんやりしていたのだろう。はっと我に返ると、僕はお腹がすいていたことに気付く。また、冷蔵庫を開け少し迷ってハムに手を伸ばす。お皿も用意せずにハムを手で口に運び、なんとなく部屋を見渡してみると、あることに気付く。
何かが違う。
この部屋の何かが昨日と違うのだ。
昨日は一日小説を書き、テレビを見て、何かを食べて、また小説を書く。家から1歩も出ていないはずの玄関に、しまったはずの普段吐くことの無い靴が置かれていた。
不法侵入?いやまさか。僕の家から何を盗むというのだ。
もし本当に誰かが僕の家に侵入したとしたら、一体なんの目的なのだろうか。なぜ僕の古い靴を玄関に置いたのだろうか。もしかすると、例の殺人事件となにか関係があるのだろうか?
急に一人でいることに恐怖を覚えた僕は、友人の家に電話をして泊まらせてもらうことにした。頼みを聞いた友人は快く了承してくれたことに安堵する。僕にも友人と呼べる人間がいたのか。
僕は軽い身支度をして、家を出て友人の家に向かった。
夢と僕と光と悪魔 夜に書くアルファベット @yokiyomi81
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