第3話 持った違和感
ルイス「だ、第2の殺人は?」
レオ「第2は第1と同じくここから1時間もしない教会の前に遺体が捨てられていた。その遺体は1件目と同じく複数回の刺傷と失血死。彼は政治家だった。第3も概ね同じだ。第3の被害者は、男性フリーター。」
レオ「察しの通り、この3件の被害者には共通点がある。1件目の被害者はティーン時代に万引きで補導歴がある。2件目の被害者は、妻に黙って不倫をしていた。3件目は、人を騙して儲けそのお金でドラッグに手を染めていた。分かるよな?被害者全員暗い罪を持っていた。」
ルイス「つまり、犯人は自分を神だと思い、罪人、つまり被害者を罰している、ということだな。動機が僕の小説の犯人と一緒だ。」
ルイス「僕の小説と捜査資料、見比べたら何かわかるかもしれない。
少し待ってくれ、書斎から俺の小説を持ってくる。」
ぼくは考えながらゆっくりと書斎へ向かう。書斎へ行き本を手に取った途端、激しい頭痛に襲われた。
体全部が痺れる感覚、頭が焼けそうに痛い。
呻き声に気付いたのか、遠くから僕を呼ぶ声が聞こえる。
レオ「大きな音がしたが大丈夫か?
おい!ルイス!どうした?!まて、救急車を呼ぶ!少し待て!」
ルイス「辞めてくれ!救急車は、病院は嫌いなんだ!!治った!俺は大丈夫だ!!やめてくれ!やめろ!!」
咄嗟に口から出た病院への拒否反応に自分自身で戸惑う。いつの間にか収まった頭痛と散らばった本に、ひとつの考えが浮かぶ。
レオ「ルイス?大丈夫なのか…?薬とかあるのか?………ルイス…?」
レオの話など耳に入らず、ひたすらに僕は僕の本を読み漁る。
ルイス「今のところ被害者の職種、性別、殺し方、捨て場所。本当に何もかも僕の小説と一緒だ。そこでこう思った。犯人も僕の小説の主人公と一緒なら?
僕の小説の主人公兼犯人の男の名前はクロエ。クロエは幼い頃父親から虐待され、父親に母親を殺されている。その日から神を信じ、罪人に罰を与えるためシリアルキラーになってしまう、そういう設定だ。
俺の小説の出版を手伝ってくれている助手の生い立ちがこの主人公にそっくりなんだ。彼は幼い頃母親を殺されている。しかも彼はかなり正義感の強い男で、犯罪者や正義を持たない人に強い嫌悪感を抱いている。そういう所を何度か見てきた。あいつだ。あいつに違いない。」
レオ「ルイス?…大丈夫か?様子が変だ……いや、なんでもない。たしかに。そいつは調べていなかった。今すぐ調べよう。助言ありがとう。今日は帰ることにしよう。また連絡する。」
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