第2話 事の詳細と協力
レオ「今、この近辺で起きている連続殺人事件について、情報の提供への協力をお願いしに来ました。」
ルイス「さ、殺人事件?」
レオ「この辺りで世間をにぎわせているシリアルキラーがいることはご存知ですよね?」
ルイス「ああ…テレビで…少しだけ…で、でも情報と言えるほどの物は持ってませんし、僕より世間の方が詳しいですよ」
レオ「本当に、何も知らないんですね…。1から説明します。連続殺人の現場や状況が、あなたの書いている小説と酷似しているんですよ。」
ルイス「え?ち、ちょっと待ってください。僕は殺してません。」
レオ「そこは我々も信じています。なので、そうですね…、情報提供というより操作協力依頼に伺いました。」
ルイス「そ、捜査協力?なぜ僕が?」
レオ「シリアルキラーは貴方の書く小説のシリーズをなぞって、人を殺していること。その小説が世に出されると同時に、人を殺していること。あなたに無関係とは思えない。犯人はおそらくあなたの周りにいる人なのではないかと、我々は推理しています。そこで、当事者のあなたから見える視点を教えて欲しいと思った次第です。」
ルイス「な、なるほど。ぼ、僕なんかが役に立つとは思えないが、僕の小説が汚されるのは僕も癪だ。い、いいでしょう。協力します。」
レオ「吃音、ですか?」
ルイス「え?」
レオ「随分、悩まされたんじゃないですか?」
ルイス「ま、まあ。で、でも吃音が無くても書く小説は変わらなかったですよ。」
レオ「姉が、同じ吃音持ちだった。……踏み込んだ話だったな。すまない。改めて、僕のことはレオと呼んでくれて構わない。」
ルイス「あ、ああ。よろしくレオ。」
まだ事の展開についていけない頭を必死に動かし、情報を整理する。
どうやら、僕の書く小説になぞって殺人を犯している人がいるらしい。そして、殺人が起こる時期と僕の小説が上がる時期が、ほぼ一致しているらしい。たしかに。僕の周りを疑うのは妥当だ。しかしそこで疑問が湧く。僕はなぜ疑われないのだろうか?
ルイス「さ、早速変な質問なのだが、なぜ僕は疑われないのか?」
レオ「もちろん、最初は疑っていた。
ルイス。君は、プロファイリング((行動科学的な視点から犯罪の性質や特徴を分析し、犯人の姿を推測する捜査手法))というものを知っているだろうか。我々は独自でプロファイリングし犯人像を固める。今回のプロファイル像に君は当てはまらないんだ。
なにより今、その質問をしてきていることも犯人ではない証拠だと私は思う。」
ルイス「な、なるほど。よく分からないが分かった。疑われてる訳では無いのだな。ではその殺人の詳細が知りたい。第1の犯行の話から順に教えてくれ。」
レオ「第1の遺体が見つかったのは、湖だ。この家から30分程の距離にあるワガドゥー湖のそばの森の中。遺体は乱雑に捨てられていた。その遺体は色々な箇所を切り裂かれており、複数回刺された跡があった。死因は失血死。彼女は娼婦だった。」
ルイス「し、娼婦?……なるほど。その犯人は人を人と認識してないようだな。」
レオ「そうだな。遺体の捨て方に罪悪感が見られない。怨恨か精神疾患を抱えているな。あるいはどちらも。」
ルイス「娼婦と関わりがある知人や友達はいないな。え、怨恨の線は切れるだろう。いや、僕がそんなに深いところを知らないだけかもしれないな。」
ルイス「だ、第2の殺人は?」
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