学校マスクは校則である

 今月から全国ではマスクが解禁になるようだ。

 でも僕ら学生は春休みに入るけど、卒業式はその前に行われる。

 国は式の最中は例外的に全員マスクを外しても良いという通達があったというが、僕らの学校は卒業生だけが写真撮影時だけに限られたようだ。

 つまりこれまで通りマスク姿で式次第を行い、マスク姿で先輩たちとお別れをすることになる。

 市内の他の学校では全員がマスクを外していいというところもあるらしい。

 というのもマスクのルールは原則的にという各学校の実情に合わせて判断してくれという。

 つまり強制でない。

 親たちは「無責任な言い方だ、最初の頃は強制的に黙食だとか言っていたのに解禁は自己責任」とか言って不信感を隠そうとしていない。

 僕もそう思う。

 まさに校則のような道徳的な規則になっている。

 マスクは本来、自分の咳を周囲に拡散させないためで、感染防止の効果などほとんどない。あったら呼吸が苦しくなるほど密閉されなければならないことは中学生でもわかる。

 特に花粉や粉塵と異なりウイルスに対しては無力だろう。

 学校に限らずどこに行ってもマスク姿じゃないと出かけられない生活が三年も続いてので、もはやマナーというかドレスコードになっている。

 だから最初の頃に比べマスクのデザインや色が豊富に揃っている。あのマスク不足はなんだったのだろうか。

 家には母親が作った布マスクがタンスに仕舞ったままになっている。

 せっかく作ったから捨てられずにいる。なんせ久しぶりの裁縫だったので作品のような感じなのだそうだ。

 新学期が始まっても僕は個人の判断でマスクを着けていこうと思う。

 もちろん学校生活だけの話だ。

 だって今更ながら二年もお互いの素顔を知らないまま生活してきて、残り一年を素顔を知ったところでどうなのだろうか。

 マスクを外してくるクラスメイトもいるだろうが、僕としては入学時からマスクだったので親しい友人などいない。

 昼休みは黒板を向いて黙食、食べ終わっても騒ぐなだから。

 通信ゲームで遊ぶしかないけど、近くにいようがいまいが関係ないから顔は関係ない。

 むしろ学校にはオリジナルのマスクを支給してもらいたいぐらいだ。

 制服とお揃いなら逆マスク警察も黙らせることもできる。

 不良だけがマスクを外したり変形や装飾をつけるかもな。

 親の時代の不良はガーゼの布マスクをすること自体がアイコンのようなものだったらしい。

 どこが不良的だか理解できないが、菌を保有しているから近づくなと脅しているのだろうか。

 僕はこれからもマスクをしているまじめな生徒として先生や大人に思われて無難な人生を送りたい。

 表情がお互いわからない生活はもっと進化するだろう。

 バーチャル面接があるくらいなんだから。


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