第3話 路上ライブ





4人くらい居たかな。




ピアノ弾いている人

ボーカルに

ギター

小さな太鼓みたいな楽器叩いてる人






路上ライブのバラードは最高。







けどバラードではなかった

けど暇潰しに

とりあえずいつも花壇に座る

そして聴く。













その右端で君は太鼓を

リズムに合わせて叩いていたね










私は、凝視した。









君を。



ぢゃない。






私「あの沖縄の伝統工芸みたいな

太鼓は何なんだ…?」





私は君より

太鼓と手元をじーっと見る









君の顔はもちろん見たよ




感想…?

特にない! 人って感じ。


まさに若い男の人が

太鼓叩いてるだけ。




それくらい何の感情もなかった。












私が付き合ってきた人は

チャラチャラしたアクセサリー

つけて、ナンパしそうは

刺青が入ってる、 いかにも

ピーポーばっかだったし



男友達も皆そんなタイプ。




ヤンキーが好きなわけぢゃないけど

当時面食いな私は、顔だけ見るなら

そのピーポーな男児の顔が好みだった。





分かりやすくいうと

北九州の成人式にいそうな男児だね。










そんな私は、

今、


黒髪セミロング

上下シンプルな無地の服きて

アクセサリーも付けてない

君と手元をじーーっと見てる。











どのくらい経ったかな。

何気なく君を見た。








その時、君はすでに私を見ていた。


そして、









太鼓を叩きながら

爽やかな笑みでニコって。















私「… … ッ」


私も頬の骨格を1cmくらい

あげた。







特に意味はない。








…多分、ない。





はずなのに、、私は何故か

泣きそうになった。








客「チェンジ」

客「タイプぢゃない」

客「肉付き良い方がいい、

痩せすぎ、薬してないよね?笑」


客「無理、性格」

客「可愛い子君よりたくさんいるから」





仕事する前、生きてきた中で

言われた事ない事を

この仕事してたくさん言われた。





気が強い、強がりな私は

基本冷たいサバサバした女。

自分の容姿は自分自身好きでは

ないけど、

容姿を褒められて育ったぶん

どこか巡まれて良かったって

思って生きてきた。








だからこそ初めて言われた時は

ショックすぎて、涙は堪えて堪えて



堪え抜いて





帰宅した後、鼻水出る程泣いた。












そんなたまにある日常の中





誰かが、私に向かって

笑みを見せる。






誰でも良かったのかもしれないし

君だったから。







かもしれない。







あの時の笑み。

会話もした事ないのに。

タイプから程遠いのに。








私は君が守護天使に見えた。




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