床ペロ1
「はぁ!? あのオチビが
大学帰りに立ち寄ったファーストフード店。夕食に誘われ食事をするが話は講義より昨日の彼との戦闘だった。
「いやいや、絶対あり得ないって」
いくら話しても信じてくれない先輩。
「あのオチビがねぇ……」
ストローを咥え、スマホ片手に誰かとやり取りしているのか片手で器用に打ち込む。
「んで、何回死んだんだよ」
「……えっと10回かな。でも、蘇生矢を早めに打ち上げてカウントされる前に復活したのもあるから」
「おいおい。いくらなんでも死にすぎだろ……」
話に夢中なり、飲み物がなくなったかバリバリと氷を食べ始める。
「ん、悪い。友達呼んでもいいか? 近くにいるから会いたいんだと」
「えっ……うん。先輩が友達呼ぶの珍しいですね」
「んまぁ……昨日ちょっとな」
チキンナゲットを頼みながら待っていると「待たせたな」と見知らぬ男性。だが、その人には何処かで見たような妙な違和感があった。
似ているのだ。
エリクシルの【リク】と――。
「お初かな。初めましてユナ」
俺を見てさらっと「ユナ」と答える。
否定も拒絶もない自然な振る舞い。
「り、リク!?」
ガタッと席を立ち、騒がしかった空間が一瞬で白ける。恥ずかしくなり手で顔を隠すと「エヘヘッお前に会いたくてゲームから出てきたんだよ」なんて下らなくも彼らしい言葉に笑ってしまった。
「あーねぇー。リベスが床ぺろ、ね」
何もなかったように話に混ざり、メガバーガーに食らい付く。
「やっと本性見せたって所か。まぁ、まだ隠してることはあるけど俺以外に見せたってことはユナとケイのこと少しは信用したってことかな」
俺と先輩を見て子供のように笑う。
「ってか、ケイ達が大学で俺が付属の短大にいるとは驚いた。リベスは専門だから違う場所にいるけど……『これ』良かったら行かない?」
食事しながらスマホと行儀が悪いがスッとテーブルの真ん中に起き、トントンッと画面を叩く。
『エリクシル コラボカフェ』
来店者にシリアルコードプレゼント!!
それは――オフ会の誘いだった。
「場所離れてるけど行ける範囲だし、こうやって近くにいると分かったなら親密になるにはちょうど良いだろ?」
「リベスさんも来るんだよね。俺は行きたくない……幻滅すると思う」
正直、リベスと会う勇気がない。
【キャラは女でプレイヤーは男】
知ったらどう反応するかなんとなく予想がつく。引かれるか。引かれないかのどちらかだ。不安な顔を見て心を読み取ったかのようにリクが口を開く。
「悪いね、ユナ。アイツのことよく知ってるから分かるけどさ。俺は一発でアンタが『男』だって分かったよ。俺の相棒を甘く見ないで欲しいね」
「へっ?」
「大丈夫だって。アイツは本当のお前を知って逃げるはずがない。だって、ユナはアイツの『本当の姿』を見てるんだから」
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