第1話

このスマホどうしよう…

再びスマホに目をやると画像フォルダには大量に自分の写真があった。

やっぱり完全に盗撮だ。

一番最初の写真は桜の咲き始めの頃を背景にした俺の写真そして一番最新の写真は桜の散り初めのものだった。

数週間でこんなにいっぱい…

スマホの操作をやめホーム画面に戻ると俺の写真(偶然カメラ目線のもの)になっていた。


この娘完全に俺のストーカーだな…

普通の人はこの状況に嫌悪感を抱くのだろうが今まで女性に好かれた経験がなく非モテボッチの俺からしたら初めて女性から好かれて少し嬉しく思ってしまう部分もあった。

このスマホを警察に届ければ彼女は逮捕もしくは俺に接近禁止となりもう会うことはないかもしれない。

それはなんか寂しいな…


そんなことを考えながら百枚くらい撮られた自分の写真をなんとなくスクロールしているとトークアプリの通知が鳴った。


『でもじゃない』

『とにかく盗撮…

いきなり来た通知にビックリして無意識に通知をタップしてしまった。



「今日もお兄さんストーキングしちゃった今日もカッコよかった~」

そこには俺の写真が添付されていて

『愛依あんたまだそんなことしてたの?さすがにそれはヤバいって』

『それにそんなに気になるなら声掛けてみたら?』

「む、無理だよー私なんか…お兄さんの迷惑になるだけだよ」

『愛依は十分魅力的だから…いつもお姉さんと比べられて自信なくすのはわかるけどあの人が凄すぎるだけだから自信もって』

『愛依にひどい扱いしてた毒親の言うことも気にしちゃダメだよ』


「で、でも~」

『でもじゃない』

『とにかく、盗撮とかストーカーは絶対ダメ!わかった?』


ついつい会話の内容見ちゃったな

悪いことしちゃったな

でもこの娘辛い思いしてるんだな

可哀想に守ってあげたい

ふとそう思った俺であった。






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