二十四章

第528話

「やあ、久しぶりだね。……それにしてもこのジョット君の屋敷、ワタシから見て少し変わっているように見えるんだけど、もしかして人類にとってこれが普通なのかな?」


 ジョット達が9543番と彼女の同類と思われる女性を屋敷の中に入れると、9543番はジョット達に挨拶をした後、屋敷を見回しながら聞いてきた。やはり意思を持った惑星のゲムマから見てもマリーと黒翼・ヘビー・マシーナリーが建てたこの屋敷は異様に見えるらしい。


「それについてはノーコメントで。……そんなことよりも今までどこに行っていたんだ?」


 9543番はギラーレ同盟を襲撃していた6567番と1672番との戦いの後に姿を消しており、その事についてジョットが聞くと9543番は自分が今まで自分が何をしていたのかを話す。


「何処って仲間に呼ばれてワタシ達の銀河に帰っていたんだよ。意思の疎通は別に本体同士でもできるんだけど、分身体を使った方が結構早く伝えたいことが伝わったりするんだよね」


「そういうものなのか? それで呼ばれた理由ってやっぱり例のテストのことか?」


 9543番の言葉を聞いたジョットが彼女に尋ねる。


 6567番と1672番がギラーレ同盟を襲撃したのは、人類がゲムマの正体と真の実力を知っても自暴自棄にならないよう確かめるテストという意味があった。そしてジョット達はゲムマの正体とその力を知りつつも新しい機体を用意して6567番と1672番と戦いを挑み、そのことが他のゲムマ達に呼ばれたことに関係しているのかとジョットが聞くと9543番は頷いた。


「うん。テストの大体の報告は1672番がしてくれたんだけど、ジョット君達の様子を身近で見てきたワタシの話も聞きたいって言う仲間が結構いてね、彼らに呼ばれていたの。ワタシの話を聞いた仲間達、皆ジョット君に興味を持っていたからこれからは多くの仲間が遊びに戦いを仕掛けてくるかもね」


「それ、あんまり嬉しくないんだけど?」


 これから先、新種のゲムマが自分の所に集中してやって来ると聞いて、ジョットは内心で渋面を浮かべる。まだまだ領地の経営やらやることがたくさんあって、何より今から新婚旅行に行こうかと妻達と話し合っていた時にそんな話をされたらそう思いたくなっても仕方がないだろう。


「まあ、それは今はいいとして……。そこにいる彼女は一体誰なんだ? 彼女も9543番のゲムマなんだよな?」


「ああ、そういえば紹介がまだだったね。彼女は10189番って言って、ワタシが昔から仲良くしていたの。ほら、挨拶して」


「は、はい……。い、10189番と言います。どうかよろしくお願いします」


 9543番に声をかけられて彼女と一緒にやって来た女性、10189番がジョット達に挨拶をする。その控えめな大人しい態度は、ジョット達が今までのゲムマ達からは見られなかった。


「なんだか大人しそうな子だね? それでその10189番がどうして9543番と一緒にここに来たの?」


 マリーが10189番を見てから9543番に聞くと、9543番が頬を掻きながら少し言い辛そうな表情で話し始める。


「いやー……。それなんだけど、実は10189番の本体である惑星でちょっと困ったことがあって、それでジョット君達に相談しに来たんだよね」


「俺達に? でもお前達の問題って言われても俺達ではどうしようもないんじゃないか?」


 9543番達、ゲムマの正体は意思を持った惑星である。そんなゲムマの間で起こった問題となるとそれは人類では対応できるものとは限らず、その事をジョットが言うと9543番が首を横に振る。


「それがそうでもないんだよね。だって10189番の問題って、彼女の本体の惑星にいる人類が原因なんだから」

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