第527話
「それで? お兄ちゃん達って復学するの?」
少し時間をおいてマーシャとセレディスとシレイアが元気を取り戻したのを見たジーナがジョット達に話しかける。
ジョット達は自分達の新しい機体の開発をするために真道学園を休学していた。そして機体の開発が完了した矢先にゲムマに襲撃を受けたギラーレ同盟の本国の救助活動を行い、それが終わったらすぐに今回の結婚式と婚約発表会である。
結婚式と婚約発表会が終わったら真道学園に復学するのかと聞くジーナに、ジョット達……正確にはジョットの周りにいる女性達が少し考えてから首を横に振った。
「いや〜? 復学はもうちょっと後でもいいんじゃない?」
「そうだね。せっかくジョット君の領地である惑星に来たんだし、もう少し様子を見たいしさ」
「ああ。それに何より私達は新婚旅行をしていないからな。復学はその後でもいいだろう」
「はい。私もせっかくの新婚旅行だから色々な場所を見て回りたいです」
マリーがそう言うとマーシャとセレディスとシレイアが賛成して、カーリーとシャルロットも同じ意見のようで頷いてから口を開く。
「というか今、真道学園に戻ったら嫉妬に狂った男子生徒達に八つ裂きにされるんじゃない? それだったら一年くらい新婚旅行でもしてほとぼりが冷めるのを待った方がいいって」
「確かに……。男子生徒の皆さんはこの屋敷のセキュリティシステムに撃退されてましたが、あの程度でこりるとは思えませんからそれがいいかもしれませんね。……もっとも一年くらいであの嫉妬心が収まるかどうかは疑問ですけど」
「……決まりだな」
マリー達の話を聞いていたジョットは自分の妻と婚約者になった女性達の希望、それと自分の命の安全のために真道学園に復学せず新婚旅行を行うことに決める。すると屋敷内に何者かの接近を報せる警報が鳴り響いた。
「ムム」
「はい。モニターに映像を出します」
ジョットがムムに声をかけると、彼女はすぐに自分の人工頭脳から屋敷のシステムに指示を送り、ジョット達がいる部屋に設置されている大型モニターが外の様子を映し出す。モニターはジョット達の屋敷の上空を映し出しており、そこには二人の女性が宙に浮かんでいて片方の女性はジョット達がよく知っている人物であった。
「9543番?」
ジョット達の屋敷に接近してきた二人の女性の一人は、ジョット達の銀河とは別の銀河に存在する意思を持った惑星、ゲムマの正体の一体であった。
「じゃあ、あの隣にいる女の人もゲムマなんだよね?」
「多分そうだろ。まあ、それは別にいいだけど、問題は彼女がどんな人物……いいや、星物(?)なのかだな」
マリーが9543番の隣にいる女性を見て言うと、ジョットがそれに答えてから隣の女性について考える。
9543番の隣にいる女性は、9543番よりも幼く大人しそうに見えるのだが、彼女達の身体は本体である惑星の素材から作り出された操り人形なようなもので、外見と内面が一致していないことをジョット達はよく知っていた。人類に友好的な9543番と一緒にいるのだから、すぐにジョット達に戦いを仕掛けてはこないとは思うのだが、人類と惑星では物を見る視点が違うので何をするのか予想がつかなかった。
ただ一つ言えることは……。
「またなんか厄介ごとが起こりそうな気がする……」
『『………………………』』
今まで9543番が現れると確実に厄介な出来事が起こっており、思わずジト目になったジーナがそう呟くとこの場にいる全員が頷き同意するのであった。
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