第519話
「あ〜……その、何だ? 屋敷の話はそれぐらいにするとして、結婚式と婚約発表をする会場の方はどうなんだ? 会場の方も黒翼・ヘビー・マシーナリーが建てたのか?」
自分達の屋敷についてアイディアを出し合うマリー、マーシャ、セレディス、シレイア、カーリー、シャルロットを見て話が長くなりそうだと感じたジョットは、話の流れを変えようと別の話題を出す。もし会場の方も黒翼・ヘビー・マシーナリーが建てたのであれば、会場にも間違いなく自爆装置を初めとする何らかの様々な機能があって、結婚式と婚約発表に呼ばれる招待客に警告を出さないといけないとジョットが考えていると、マリーは首を横に振って答える。
「ううん。会場の方は大清光帝国が手配した建設業者の人達が建てたよ。私達が屋敷の建設の仕事を取っちゃったから、建設業者の人達は会場は惑星の施設の建設に専念しちゃったみたい」
「そ、そうなのか?」
会場と惑星の施設を建てたのが黒翼・ヘビー・マシーナリーではないと聞いてジョットだけでなく他の仲間達も内心で安堵する。どうやら黒翼・ヘビー・マシーナリーの作業員達は屋敷の建設に集中するあまり、この惑星にある他の施設にまで魔の手を伸ばす余裕がなかったようである。
「会場は私も見たけど外見は完璧だったよ。だけど完璧なのは外見だけで、自爆装置も変形機能もないただのつまらない会場だったけどね」
『『………………………』』
マリーの言葉を聞いてジョットとその仲間達は今度こそ安堵して内心で胸を撫で下ろす。彼女の「つまらない」という台詞ほど安心できる言葉をジョット達は知らなかった。
「大清光帝国がよこした建設業者が建てたって言うのなら安心だな」
「そうだね。四人の結婚式と二人の婚約発表をする大切な会場なんだから、しっかりとした会場じゃないと困るけど、今の話を聞いたら大丈夫そうだね」
「……うん?」
ジョットの呟きにマーシャが頷き答えると、彼女の言葉にジョットは気になる点があったようで首を傾げる。
「ちょっと待ってくれ、マーシャ? 今、四人の結婚式と二人の婚約発表って言ったか? 今回結婚式を挙げるのはマーシャとセレディスとシレイアの三人で、婚約発表をするのはシャルロットの一人だけだろ?」
「いいや、四人の結婚式と二人の婚約発表であっているぞ」
「はい。ジョット様には言っていませんでしたけど、私達の結婚式と婚約発表に加えて、マリー様との結婚式とカーリー様との婚約発表を行う予定なんです」
「何っ!? 聞いていないぞ?」
ジョットがマーシャに話しかけると、彼女に変わってセレディスとシレイアが彼に答えて、それを聞いたジョットがマリーとカーリーを見る。するとマリーは複雑な表情を浮かべた顔で、カーリーは照れ臭そうな顔で頷く。
「そうだよ。私とジョット君って種類上では結婚しているけど結婚式は挙げていないでしょ? それを知ってシレイア様達が提案してくれたの。私だけ結婚式を挙げてないのは不公平でフェアじゃないって言ってさ」
「私もシレイア様達に声をかけてもらったんだよね。私とジョット君の婚約を知っているのは一部の上層部だけだから、この機会に多くの人に知ってもらったらどうかって」
「……」
マリーとカーリーの言葉を聞いてジョットはもう何を言えばいいのか分からず、何も言えずにいた。
一つだけ分かるのは、自分の結婚式と婚約発表が最初の予想よりもずっと大きなものになるということだった。
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