第511話
「俺達四人の新型機の代金代わりに俺とシャルロットが婚約?」
「はい。ジョットさんのアレス・グラディウス。シレイア様のミレス・チャリオット。マーシャさんのミレス・ヒュドラー。セレディスさんのミレス・スパルトイ。どれも私達正銀工房を始めとする惑星ファイトスの兵器メーカーの協力が無ければ完成しなかったと思います」
「そんな事ない! 貴女達の協力が無くても私達黒翼・ヘビー・マシーナリーの技術力だったら、ジョット君達の新型機を作るくらいできるわよ!」
黒翼・ヘビー・マシーナリーは一回、自分達だけの手でジョット達の新型機を作ったが、それらはギラーレ同盟に奪われそうになったので自爆装置で破壊した。その後、正銀工房を始めとする惑星ファイトスの兵器メーカーの協力を受けて完成したのがアレス・グラディウス、ミレス・チャリオット、ミレス・ヒュドラー、ミレス・スパルトイの四機の新型機だった。
その事についてシャルロットが言うとマリーが大声を出して反論するが、シャルロットはそれに対して頷いてみせた。
「そうかもしれませんね。ですが私達の協力がなければ、あそこまで早く完成することはなかったはずです。違いますか?」
「……それはそうかもしれないけど」
シャルロットの言葉にマリーが不承不承頷くと、ジョットがシャルロットに話しかける。
「俺達の新型機の開発に正銀工房が協力してくれたのは覚えている。でも、それが何で俺とシャルロットの婚約に繋がるんだ?」
「……ジョットさん達の新型機開発のために私達正銀工房を含めた兵器メーカー二十二社は、通常業務を一時中止して黒翼・ヘビー・マシーナリーに協力しました。それによって生じた損害額はかなりのものになります」
「そ、損害額? しかも兵器メーカー二十二社分の?」
シャルロットの口から出た損害額という言葉に、根が庶民のジョットは表情こそは変えていないが内心で冷や汗を流す。するとシレイアが首を傾げてシャルロットに質問をする。
「ちょっと待ってください。確かそれらの損害額を含めた費用は全て大清光帝国がお支払いするという話だったはずですが?」
「はい。確かに最初はその予定でしたけど、惑星ファイトスの領主が費用を肩代わりする代わりに私とジョットさんの婚約をもちかけたら、皇帝陛下が快く承諾してくれました」
「……!? お父様……!」
シャルロットの言葉にシレイアは、l自分が座っている車椅子の手すりを握りしめて怒りを露わにする。その二人の会話を聞いてジョットは、自分とシャルロットが婚約する理由を理解したが、まだ一つだけ分からない点があった。
「でも、何で惑星ファイトスの領主は費用の肩代わりの条件に俺とシャルロットを婚約させようとするんだ?」
『『……え?』』
ジョットがそう言うと、この場にいる女性達全員が信じられないといった視線を彼に向けた。そしてマリーが一度シャルロットを見た後、ジョットに話しかける。
「ジョット君、本当に知らないの? シャルロットのお母さんはこの惑星ファイトスの領主のお姉さんで、シャルロットは領主の一族の一員なんだよ」
「そういうことです。そして私が今話題のジョットさんの婚約者となれば、皇族だけでなくリューホウ王国の貴族ともお近づきになれるということで、叔父様は私とジョットさんの婚約を申し出たというわけです」
シャルロットはマリーの言葉に頷くと、ジョットの方を見てそう言うのであった。
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