第488話
時は少し遡り、大清光帝国とギラーレ同盟の軍隊が両国の国境がある宙域で戦闘をしていた頃。その戦闘が行われている宙域から遠く離れた宙域に二人の男の浮かんでいた。
二人の男は宇宙服を着ていないのに平気な顔で真空の宇宙空間にいて、何光年も離れた宙域で大清光帝国とギラーレ同盟の軍隊が戦っている様子を眺めており、しばらくして二人の男の一人が口を開いて一人呟く。
「それにしても人類って奴らは本当に戦いが好きなんだなぁ」
口を開いた男は二十代くらいの今時の若者みたいな外見をしていて、昆虫同士の戦いを見るような目で大清光帝国とギラーレ同盟の戦いを眺めながら独り言を続ける。
「俺達とだけじゃなく同族同士で殺し合って、しかも数だけはいてよぉ。……やっぱり俺様が言った通り、人類狩りをやった方が良かったんじゃねぇの? あんなに戦いが好きで数がいるんだったら、少しくらい減らしても大丈夫だろ?」
「……」
二十代の男の言葉に彼の隣にいるもう一人、三十代くらいの男が無言のまま横目で二十代の男を睨みつける。すると隣からの視線に気づいた二十代の男が肩をすくめる。
「そんな怖い顔で見るなよ。分かっているから。今更俺一人で人類狩りなんかしても流行らないみたいだからやらないって。ここに俺達が来たのは、俺達が少し本気を見せたら人類がどんな反応をするか見てやるためだろ?」
そこまで言うと二十代の男は視線を三十代の男から大清光帝国とギラーレ同盟の戦いの戻して、まるで今から悪戯を仕掛けようとする悪童のような笑みを浮かべる。
「そんなに戦いが好きだったらこの俺様、『6567番』様が存分に遊んでやるよ。感謝しろよ、人類共」
「さて、それじゃあ早速また新しいジョット君達の機体を作ろうか」
自爆装置の使用を喜んでいたマリーだったが、ひとしきり喜んだ後に再びジョット達の新しい機体を作ることを宣言すると、それに黒翼・ヘビー・マシーナリーの作業員達が同意する。
「そうですね。幸い設計図だけじゃなくて予備のパーツもいくつかありますし、今度は前よりずっと早く作れますよ」
「でもせっかくだから新しい兵器や装置も追加しませんか?」
「ちょっと待ってください。
マリーを初めとする黒翼・ヘビー・マシーナリーの作業員達が話し合いながらジョット達の機体作りを始めようとした時、十人以上の男女がやって来たのだがその戦闘にいたのはジョットの知っている人物だった。
「シャルロット?」
黒翼・ヘビー・マシーナリーの工場にやって来た十人以上の男女の先頭にいたのは、ジョット達と同じ真道学園の生徒で、惑星ファイトスにある兵器メーカーの一つ、正銀工房の社長令嬢であり技術責任者の正銀・マーシーブレイド・シャルロットであった。
「あっ、シャルロット!? 貴女、一体何をしに……って、他の兵器メーカーの人達も? どうしてここに?」
ジョットの言葉を聞いてシャルロットの姿に気づいたマリーが彼女に食って掛かろうとするが、シャルロットの後ろに惑星ファイトスにある複数の兵器メーカーの社長や技術主任といった重役達がいるのを見て首を傾げる。疑問を抱いたのはマリーだけでなく、首を傾げるマリー達にシャルロットは自分達が今日ここにやって来た理由を言う。
「領主様から事情は聞かせてもらいました。つい先程、ジョットさん達が新しい機体を失ったことも知っています。……そこでお願いがあるのですが、ジョットさん達の新しい機体、それを作るのに私達もお手伝いさせてもらえませんか?」
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