第482話
《お、おい……!? ジョット、お前、無茶苦茶なことやってねぇか……!?》
『『………………!?』』
ギラーレ同盟の戦艦の砲撃を全て回避しながら全身する魅火鎚のブリッジでは、モニターからその様子を見ていたサンダースが驚いた顔で魅火鎚を操縦しているジョットに声をかけ、彼の周囲ではマリーを初めとした女性陣も驚きの表情を浮かべていた。しかし魅火鎚を操縦しているジョットは、サンダースの言葉に対して何でもないように答える。
「そんなに大したことはしていないだろ? こんなのデブリ帯でジャンク漁りをしていた時にミレス・マキナの後部カメラが故障して、後ろから飛んでくるデブリを周囲の様子から察知して避けていたのと比べたらなんでもない。いや、それ以前にジャンク漁りをする時はまず戦闘機でデブリ帯を突き進まないといけないから、この程度ならもう慣れたよ」
《大したことはしていないとか、もう慣れたとか、スゲェこと言ってんな、お前? というか魅火鎚みたいなデケェ船、よくそこまで動かせるな?》
ジョットの話を聞いて改めて彼の操縦技術の高さを思い知らされたサンダースが言うと、やはりジョットはギラーレ同盟の戦艦の砲撃を回避しながら何でもないように答える。
「そんなのは当然だろ? この魅火鎚はマリーが作ってくれたものだ。妻が精魂込めて作った船を夫の俺が乗りこなせないわけないだろう?」
「………!?」
(コ、コイツ……! 自分の操縦技術の自慢と惚気を同時にしやがった。それも無自覚に……!)
ジョットの言葉にマリーが一瞬で顔を真っ赤にして、サンダースが戦慄の表情を浮かべる。そしてそうしているうちに魅火鎚はギラーレ同盟の戦艦三隻のすぐ近くまで近づいており、ここでジョットは次の行動に移ろうとしていた。
「ここで一気に決める。皆、これから大きく動くから身体を固定しておいてくれ」
『『………………』』
魅火鎚のブリッジにいる女性達はジョットの指示に従って近くにある座席に座って身体を固定し、最後に下半身が不自由なシレイアが自分の座っている車椅子を床に固定すると、それを確認したジョットが行動を開始する。
「それじゃあ……行くぞ!」
そう言ってジョットは魅火鎚の進行方向を上空に変更するのと同時に、船体を人型にと変形させる。
機体の変形によって生じた慣性も利用して魅火鎚は、通常の戦艦では実現不可能な軌道を描きながら動き、更に移動しながらビーム砲を放つことでギラーレ同盟の戦艦からミレス・マキナの部隊が出撃しないように牽制をする。そして魅火鎚が戦艦から人型への変形を完了させた時、魅火鎚は三隻あるギラーレ同盟の戦艦のうちの一番右側にある戦艦の側面に移動していた。
戦艦の側面に移動した魅火鎚は両手の中にビームの大剣を作り出すと、常識外れの魅火鎚の動きに翻弄されて対応が遅れている戦艦の船体に突き刺した。そしてそのまま魅火鎚は出力を上げてビームの大剣を伸ばし、他の二隻の戦艦をも貫いた。
「これで……終わりだ!」
ジョットの言葉と同時に魅火鎚はビームの大剣を横に振るってギラーレ同盟の戦艦三隻の船体を大きく斬り裂いた。それによって三隻の戦艦は砲撃を行うどころか満足に船体を動かすこともできない完全な行動不能状態となり、しばらくした後にギラーレ同盟の軍艦から魅火鎚に降伏と救助要請の信号が送られたのであった。
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