第479話
「……と言うわけでジョット君達の新しい機体の開発が遅れているみたいなの。本当に皆、仕方がないんだから。ジョット君達もゴメンね? ウチの技術者達が暴走しちゃって」
どうやら黒翼・ヘビー・マシーナリーの技術者達は現在、脱走を企てたギラーレ同盟の軍人達を使ったガーディアンの起動試験に熱中しすぎてジョット達の機体の開発を後回しにしているらしく、そのことをマリーが謝りながらジョット達に報告するのだが彼女は怒ってはいないようだった。
むしろ機体の開発が遅れたお陰で自分も開発に参加できるとマリーは内心で喜んでおり、そんな彼女の考えなどお見通しのジョットはもはや怒る気にさえなれずにいた。
「……まぁ、何だ? 確かに俺達の宇宙船って乗っている人数が少ないから優秀なガーディアンが開発されるならそれを配備したいけど、使えそうなものはあるのか?」
確かに新しい機体の開発が遅れたのは残念だが、自分達の宇宙船の安全を守れるかもしれないと前向きに考えることにしたジョットがマリーに聞くと、彼女は自分の携帯端末を見ながら答える。
「そうだね……報告書と一緒に送られてきたガーディアンの実験結果を見ると、実用可能レベルなのはDr.スパイクヘッド、プロフェッサーRR、ドクトルダイバー、ガンマニア教授、老師オーガが作ったガーディアンだけみたいだね。……でも、プロフェッサーRRとドクトルダイバーと老師オーガはちょっと問題があるみたいで配備は無理かな?」
「問題があるだと? まさかガーディアンにも自爆装置を取り付けたとか言わないだろうな?」
マリーの言葉にセレディスが嫌な予感を感じて話しかけると、マリーは訳が分からないといった表情で首を傾げる。
「? それの何が問題なの? 自爆装置なんて全部のガーディアンに装備されているよ?」
『『……………』』
ある意味予想通りではあるマリーの言葉にジョット達が何も言えないでいると、マリーはプロフェッサーRRとドクトルダイバーと老師オーガが開発したガーディアンの問題点を説明する。
「プロフェッサーRRが開発したガーディアン『キルキルマシーン』は人体を傷つけず、パワードスーツを初めとする装備のみを斬り裂くってものなんだけど、モルモットに使ったギラーレ同盟の軍人達の衣服まで切り裂いて裸にしちゃったから問題アリってことになったの。
ドクトルダイバーの『ツインヴァイパー』は二種類の溶解液を浴びせることで装備を溶かすって機能を持っているんだけど、これも軍人達の衣服を溶かして裸にしちゃったからアウト。
老師オーガの『壊人二十八号』は両手から人体には無害な振動波を発して武装を破壊する人型ガーディアンなんだけど、これも軍人達の衣服ごと装備を破壊して裸にしたから以下同文」
「それは別の意味で購入したいと言う人がいるのでは?」
マリーの説明を聞いて、三人の技術者のガーディアンが実用可能なレベルなのに問題アリとされたことに納得したジョット達であるが、ムムは意外にも購入者がいるかもしれないと言うのだった。
「それでもし火颶槌と魅火鎚に配備するんだったら今のところ候補はDr.スパイクヘッドが開発した『ニードルスター』かな? 普段はゴム製のボールなんだけど、敵が来たら表面にトゲを生やして襲いかかるガーディアンで、しかもトゲの硬度を調節できるから戦闘だけじゃなくて捕縛にも使え……何っ!?」
マリーが自分の携帯端末を見ながらDr.スパイクヘッドが開発したガーディアンについて話していると突然魅火鎚のブリッジに警報が鳴り響き、警報を聞いて即座にブリッジの機器を操作したムムはこの場にいる全員に何が起こったのか報告する。
「前方から武装した宇宙戦艦が三隻近づいて来ています。……これはギラーレ同盟の船です」
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