第471話

「……と、言うことがあってね。どうやらジョット達が言う大清光帝国とギラーレ同盟の戦争にゲムマが参加するかもしれないんだ」


 188番との会話が終わりジョット達がいる銀河へとやって来た9543番は、蒼海珠から惑星ファイトスへ戻る途中だったジョット達に合流すると、魅火鎚のブリッジで188番との会話について説明した。


 9543番の話はかなり衝撃的で、しかも彼女がやって来る数時間前にギラーレ同盟が大清光帝国に宣戦布告した話を聞いたばかりなので、ジョット達は彼女の話を理解するのに少しの時間を必要とするのだった。


「……………ええっと、つまり? 大清光帝国とギラーレ同盟の戦争にゲムマを乱入させて、その時の反応を見てこれからの人類とゲムマの戦いのやり方を決めるってことか? 相変わらず無茶苦茶と言うか、ギラーレ同盟が宣戦布告してくる未来を予測するって凄いよな……」


 9543番の話を聞いたジョットは自分の額を指で軽く叩きながら何とか状況を整理する。


 ゲムマの正体が別銀河の意思を持つ惑星と聞いた時から、9543番の話ではもう驚くことはないと思っていたジョットであったが、星間国家同士の戦いを自分達の遊びに関する情報源にされた挙句、戦争が起こる未来を予知されたら流石に驚く……というか最早驚きを通り越して感心までしていた。


《お、おい! よく分からないけど、コッチも何とかしてくれよ! ベックマンの奴、さっきから動かねぇんだぇど!?》


《………》


 ジョットが呟くと魅火鎚のブリッジのモニターからサンダースの焦った声が聞こえてきた。モニターを見ればルヴィア目当てで黒翼・ヘビー・マシーナリーにまで来たサンダースが映っており、彼の隣にはベックマンの姿もあったのだが、ベックマンは白目をむいて気絶していた。


 どうやらギラーレ同盟からの宣戦布告の衝撃から完全に立ち直っていない状態で9543番の話を聞いたせいで、ベックマンの限界を超えたようであった。


「ああ……。やっぱりベックマン君に不幸がやってきちゃったか……」


 モニターの中で気絶しているベックマンを見て9543番が心から同情するような表情を浮かべていると、ベックマンの隣にいるサンダースが彼女に話しかける。


《あー……? それでアンタが例のゲムマの正体だっていう意思を持ち惑星なのか?》


 9543番の話を聞いてベックマンが気絶した辺りで、彼女と初対面であるサンダースはジョット逹の口から9543番のことを聞いていたのだが、まだ信じきれていないようであった。


 ……ちなみに気がついたベックマンが、サンダースにもゲムマの正体を知られたことで更に心労を重ねることとなるのが、それはまた別の話。


「うん。そうだけど、一体何か用?」


《いや……。ジョット逹の話だと、あんたらって未来が分かるんだよな? ……その、だったら大清光帝国とギラーレ同盟が戦争にならない方法とか分からないのか?》


「ゴメン。それはちょっと分からないかな。ワタシが分かるのは、運命力の流れだけだから。何をどうしたらどのように運命力の流れが変わって、それがどんな結果を生み出すのかまではね……」


《そうか……。いや、変なことを聞いてすまなかったな》


 サンダースの質問に9543番が申し訳なさそうに答えると、サンダースもある程度予想外していたのか頭をかきながら言葉を返した。


《……しっかし、一体どうしてギラーレ同盟の奴らは宣戦布告なんてことをしやがったんだ?》


 話題を変えようと思ったのか、ギラーレ同盟が宣戦布告をした理由は何なのかとサンダースが言うと、シレイアが苦い顔となって答えた。


「それはギラーレ同盟の方々が『ゲムマとの戦いが始まった原因が大清光帝国にある』と言い出したからです……」

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