第467話
ジョット達が惑星ファイトスを出発して蒼海珠へと向かってから数日後。ジョット達は惑星ファイトスから少し離れた惑星に、蒼海珠までの燃料などの物資を補給するために寄っていた。
「うん。これだけあれば蒼海珠まで十分保つでしょ。……それにしてもまさか物資の補充を忘れていたとは」
「いや、出発前の物資のチェックをしなかった俺が言うのもなんだけど、普通は出発前に物資の補充をするものだろ?」
魅火鎚のブリッジで必要な物資が積み込まれたのを確認したマリーがそう言うと、ジョットが至極まともな指摘を口にした。
「だってぇ……。早くジェネレーターの調律を終わらせて、私もジョット君達の新しい機体作りをしたいんだもん。Dr.スパイクヘッド達ったら、自分達だけで機体を全部作っておくから、ゆっくり行ってゆっくり帰ってきたらいいなんて言うんだよ? 酷くない?」
ジョットの指摘にマリーはまるで子供のような拗ねた口調で反論する。強化されたゲムマと対抗するための、今までにない改造を施された機体の製造をまるで楽しい遊びのように言う辺りは、流石は黒翼・ヘビー・マシーナリーと言ったところだろう。
「それに私達って行き当たりばったりと言うか、急な行動が多いじゃない? だからそれに慣れちゃって」
「……いやぁ、確かに急な行動は多いかもだけど、行き当たりばったりとは少し違うんじゃないかな?」
確かにマリーの言う通り、ジョットは急に貴族でアレス・マキナの機士になったことを含めて今まで何度も急な出来事が起こり、その度に急いで行動することがあった。だがそれでもいつも行き当たりばったりではないとジョットは思いたかった。
「それにしても、こんなに一気に物資を補充しなくても良かったんじゃないか? 蒼海珠までには物資を補給できる惑星がいくつもあるんだし、もし足りなくなったらそこで補充したら……」
「駄目だよ。それじゃあ、惑星に寄る時間が無駄になるでしょ? 私は早くジェネレーターの調律を終わらせてジョット君達の新しい機体の製造に参加したいの」
「製造に参加って、すでにしているじゃないか?」
ジョットはマリーの言葉に首を傾げる。マリーは惑星ファイトスを出発してから今日まで、ジョット達の新しい機体や武装の設計図など作成してそれを黒翼・ヘビー・マシーナリーの工場に送ったり、通信装置で作業員達に指示を出したりしていて、すでに機体の製造に参加しているとジョットは思うのだが本人はそう思っていないようであった。
「同じ作業現場にいないと本当に参加しているとは言えないんだって。それにさぁ……」
マリーはそこまで言うと頬を赤くしてジョットから目を逸らす。
「それに? どうかしたのか? 何だか顔が赤いけど?」
「〜〜〜〜〜! ああ、もう! もう今日は休むよ! 早く来て!」
急に顔を赤くしたマリーにジョットが話しかけると、彼女は突然大声を出して彼の手を取ってブリッジから寝室へと向かう。すでに時刻はもう休む時間となっていたが、今日のマリーはどこか様子が違っていた。
「ほら、皆もう待っているよ?」
「皆? 皆って一体………えっ?」
寝室の前に着くとマリーは赤い顔のまま扉を開けて、部屋の中を見たジョットが動きを止める。
『『………………』』
寝室の中ではマーシャとセレディス、シレイアとカーリー、ムムにペルルと、ジョットの婚約者達と侍女達が扇情的な寝巻きを着てジョットが来るのを待っており、彼の背後からマリーが話しかけてくる。
「これで分かったでしょう? 他の惑星なんかに寄っていたら蒼海珠に着くまでの時間が長くなって、一緒にいられる時間が減っちゃうの。……せっかく余計な人達がいないんたからさ、全員愛してくれないと嫌だよ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます