第465話
ジョット達が自分達の機体のジェネレーターの調律をしてもらうため大清光帝国の首都星、蒼海珠に向かっていた頃。9543番はジョット達がいる銀河とは違う、彼女の本体である意思を持つ惑星がある銀河に戻っていた。
「え〜と……。確かこの辺りに……あっ、いた」
「あーもー! いい加減解放するのであ〜る!」
宇宙空間を移動しながら9543番が周囲を見回していると、彼女はやがて目当ての人物を見つけた。それは強化型ゲムマを作り出してジョット達に
「退屈なのであ〜る! 祭夏・ジョット達の所に行きたいのであ〜る!」
8789番は宇宙空間で子供のように手足をばたつかせながら大騒ぎをしていた。
一見すれば8789番は何の拘束もされていないように見えるが、実際の所彼女は今拘束されて自由に動けない状態であった。
大騒ぎしている8789番のすぐ近くの宙域には彼女の本体である惑星があり、その惑星の周囲には百体以上のゲムマが取り囲んでいた。これらのゲムマは他の意思を持つ惑星が操るゲムマで、ゲムマから発する精神波によって8789番は近い宙域までしか精神波を飛ばせず、分身体をジョット達のいる銀河まで送れない状態なのである。
「やあ、8789番。随分と怒られたみたいだね?」
「あっ!? 9543番!」
9543番が話しかけるとそこで初めて彼女に気づいた8789番が宇宙空間で起き上がる。
「ワタシも仲間達も随分と怒られたよ。ジョット君達にワタシ達の情報を教えたことでね」
「9543番もであ〜るか? まったく……皆してこれぐらいで大袈裟なのであ〜る」
「いや、決して大袈裟ではないな」
8789番が9543番の言葉に怒ったように言うと、いつの間にか二人の近くに現れたある人物が話しかける。9543番と8789番に話しかけたのは8789番よりも歳下な男の子なのだが、その男の子を見て二人が驚きの表情を浮かべる。
「お前は……188番であるか!?」
「ウソ……!? どうして『長老級』がこんな所に?」
9543番達、意思を持つ惑星は番号が少ない、自我に目覚めた時期が早い惑星ほど仲間内の順列が高くなっている。これには単なる年功序列ではなく、自我を目覚めてからの情報の積み重ねと、長い期間存在できている星としての生命力も関係していた。
そして番号が一桁か二桁の惑星は「最長老級」と呼ばれて意思を持つ惑星内で最高の決定力を持ち、百番から五百番までの惑星は「長老級」と呼ばれ最長老級に次ぐ決定力を持っていたのであった。
「9543番、8789番。キミ達がやったことはキミ達が思っている以上に重大なことなのだ」
188番は少年の見た目とは不釣り合いの威厳を感じさせる言葉で9543番と8789番に話しかける。
「かつて我々は二度、今の人類と同じく母星から宇宙に進出した知的生命体と接触したことがあった」
「えっ!? そうなのですか?」
「初耳なのであ〜る」
過去にジョット達人類以外の知的生命体と二度も関わった事実に9543番と8789番が初耳だと驚くと、188番は当然のように頷く。
「無理もない。これはキミ達が自我に目覚める前の出来事なのだから。……そして話を戻すが我々は過去にその知的生命体に接触したことがあったのだが、彼らは我々の存在と力を知ると最初は我々を『神』と呼んで崇めたて、次第に自分達も我々と同じ存在になろうと試みた」
「それは知的生命体としてはある意味当然の欲求なのでは?」
「うむうむ。向上心があって結構なことなのであ〜る」
188番の話を聞いて9543番と8789番がそれぞれの感想を言うと、188番は目を閉じて悲しそうな声で言う。
「我々もそう思っていた。……しかし最終的にその二つの知的生命体は自分達の限界を知り、自分達では我々と同じ存在になれないと理解すると、絶望のあまり自滅をする道を選んだのだ」
『『……っ!?』』
二つの知的生命体の最後を聞いて9543番と8789番は今度こそ驚きで絶句すると、そんな二人に向けて188番は話を続ける。
「キミ達がしたことは、先の二つの知的生命体と同じ末路を作り出しかねないことだったのだよ。……そして彼ら人類が我々の存在を知って絶望していないか否か、今度こそ成功なのかどうか確かめる必要がある」
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