第460話
「皆、集まってくれたわね」
ジョット達と9543番との戦いから数時間後。黒翼・ヘビー・マシーナリーの会議室でマリーは、そこに集まった人達に向かって話しかける。
会議室に集まっているのはマリーの他に、ジョットと彼と関係がある女性達にベックマン、そしてDr.スパイクヘッドを初めとする黒翼・ヘビー・マシーナリーが誇る五大博士であった。
「ウヒヒ……。マ、マリーちゃん、私達を、きゅ、急に呼び出して一体、ど、どうしたの?」
「そんなの決まっているでしょ? ジョット君達の機体の改造……その方針を話し合うためよ」
プロフェッサーRRに聞かれたマリーがジョット達を集めた理由を話すと、会議室に集まった全員の視線がマリーに集まる。
「なるほどね。それは確かに早めに決めておいた方がいいよね」
「そうね。一体どんな風に改造するつもりなの?」
ジョット達の機体をどの様に改造して強化するか、その方針を話し合って決めようと言うマリーの言葉にDr.スパイクヘッドが納得して頷き、マーシャが質問をする。するとマリーは会議室にいる9543番に視線を向けた。
「それを話す前に……9543番。貴女に聞きたいことがあるのだけど?」
「ワタシに聞きたいこと? ワタシの強化型ゲムマに使った鉱石の構造情報? それとも分身時に粉末状の鉱石を操作した原理?」
「……それも気になるけど、聞きたいのは別のこと。9543番、貴女と8789番の強化型ゲムマを見て思ったんだけど、貴女達の強化型ゲムマって『一対多数』に特化していない? それでこれは私の予想なんだけど、他にも強化型ゲムマが作られたとしたら、それも複数の敵と戦うことに特化したゲムマになるんじゃないの?」
「うん。そうだね」
マリーの質問に9543番はあっさり頷き答え、二人の話を聞いていたジョット達は確かに9543番の分身も8789番のワイヤー包囲陣も、どちらかと言えば複数の敵相手に有利そうだったと思った。
「ワタシ達のゲムマが人類に破壊されてきた一番の理由はやっぱり物量差だったからね。ワタシも8789番も複数の敵を相手にする方法を考えたし、他の仲間達も強化型ゲムマを作ったら複数の敵を一度の攻撃する手段を用意するだろうね」
「やっぱりね……。その事を考えて私はジョット君達の機体を『一対一』に特化した改造をしようと思うの」
9543番の言葉を聞いてマリーはジョット達の機体の改造の方針を口にする。
「一対一に特化? どう言うことだ? 強化型ゲムマが一対多数に特化しているんだったら、こっちも一対多数に特化した改造した方がいいんじゃないか?」
「それだったら勝てないよ」
疑問を口にするジョットにマリーは即答する。
「無数のゲムマの攻撃に対応しながら戦っても、こっちからは有効な一撃が出せなくて最後には押し負けちゃうよ? それはジョット君が一番分かっているでしょう?」
「……ああ」
マリーに言われてジョットは数時間前の9543番との戦いを思い出して頷く。
9543番の強化型ゲムマとの戦いでジョットは、あらゆる方向から迫り来る攻撃を全て避けていたのだが、回避に専念したこともあって自分から攻撃する余裕がなく、マリーが中止を言うまでただひたすら9543番の攻撃を避け続けていたのであった。
「だから私達は一対一に特化した機体を作って、ゲムマが何かをする前に一撃必殺で決める。向こうが無数の攻撃を繰り出してきたら、それを一つずつ速攻で打ち砕く。これが一対多数に特化した強化型ゲムマに一番有効だと思うの。……それに」
そこでマリーは一度言葉を切ると、これから悪戯を仕掛ける子供のような笑みを浮かべる。
「そっちの方が面白そうでしょ? 浪漫があって」
『『……………!』』
マリーがそう言うとDr.スパイクヘッド、プロフェッサーRR、ドクトルダイバー、ガンマニア教授、老師オーガの五人もマリーと同じく笑みを浮かべ、それを見たマリーは9543番に視線を向けた。
「9543番。今度あのスク水白衣のロリッ娘、8789番に会ったら伝えておいて。『貴女の喧嘩を買ってあげる』って。あと『そっちも強化型ゲムマを更に強化したければ好きにすればいいわ。こっちもそれに負けないくらい機体を強化するから』。これも伝えておいて」
「……………ははっ! 了解。8789番には必ず伝えておくよ。きっと8789番も喜ぶと思うよ」
9543番はマリーの言葉に一瞬、意表を突かれたような表情を浮かべた後、すぐに楽しそうな笑みを浮かべて頷くのであった。
〜後書き〜
作者は機動戦士では種な機動戦士が一番好きです。
最後のフリーダムな機動戦士とプロヴィデンスな機動戦士の戦いで、フリーダムな機動戦士がプロヴィデンスな機動戦士の猛攻を掻い潜っての突撃するシーンは今でも一番カッコいいと思っています。
マリーの「一対多数特化の強化型ゲムマには一対一特化の機体で対抗!」という考えも、あのシーンから思い付きました。
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