第18話・量子場って

18・量子場って


量子が煮えたぎってる場が「量子場」(通称で「場」)だ。


世界を量子場が支配してる・・・というよりは、世界に先駆けて量子場が存在し、世界をつくってるんだ。


場を、広々とひろがる薄布とすると、その表面は波動関数の確率の高低差で山谷ができ、波打ってる。


そして、山のピークに高確率で素粒子が発生する。


今「発生する」と言ったけど、これがほんとに「生まれ落ちる」んだ。


素粒子たちは、もうひっきりなしに生まれ、そして消える。


素粒子とは、離散的な数値を持ったエネルギー・・・つまりつぶ状に小分けにされた波だってことを思い出してほしい。


連続的につながってなくて、こま切れなんだ。


だから、生まれるときには前触れもなくぽんっと出現し、消えるときにはいきなり跡形もなくぱっと消滅する。


そのために、時間もまた小分けにされて、飛び飛びの値に刻まれる。


連続的に流れるもんだと思ってた時間もまた、つぶ状なんだ。


その時間のつぶごとに、素粒子はおびただしく生み落とされる。※1


しかも、「物質」と「反物質」という、鏡うつしのペアで。


このペアは、姿かたちも性格もそっくりなのに、電荷だけが正反対、という双子だ。


生まれるときは、必ずふたり一緒(対生成)。


そして、消えるときも必ずふたり一緒(対消滅)。


この世界とは、延々とこれを繰り返して、いわゆるひとつの定常状態を保ってるようだ。


つづく


※1 正確には、素粒子が生まれるごとに時間のつぶが発生する、という逆の順序が正しい。

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