第17話・場の量子論って

17・場の量子論って


ミクロ世界のつくりは、大きな体を持ってしまったぼくら人類の直観とは相容れないみたいだ。


そもそもそこでは、存在の概念も、活動のルールも違ってるんだから。


だけど、ぎりぎり前回までに書いたことは、頭の中でイメージできる世界だった・・・よね?ね?


ところがここから先は、さらに常識を捨てなきゃな世界になっていく。


物理学とは、自然現象を数学で記述するという学問なので、より正確な世界の描像を構築しようとすると、どうしても観念的になっていくしかない。


そんな、最新にしてコンセプチュアルな芸術作品(科学の粋を集めた最先鋭見解)を知ってもらい、第一部の完結にしたい。


それが、量子力学をただの基礎科学にしてしまう、「場の量子論」だ。


ここまで、物質は波であり、力はつぶであり、つぶと波は同じものである・・・みたいなことを言い散らかしてきたけど、「波っつーけど、なにが震えてんの?」と疑問に思ってたはずだ。


フツーなら「音波」や「風」みたいに空気が震えてると考えたいとこだけど、その空気を形づくる素粒子こそが「波の集中した一点の位置」だってんだから、疑念は深まる。


だったら、なにが震えてんの?


その震え、波打ち、素粒子を素粒子に見せてるものとは、「場」だ。


磁石の周りに現れる「磁場」は、そこにまかれた鉄粉なんかの形を変え、方向を与えることで、力が目に見えるよね。


あれと同様に、いろんな場※1は、真空にひろげられたマットみたいなもので、あちこちで震えて素粒子に形と力を・・・なんというか「存在」そのものを与えるんだ。


それどころか、そこら中で煮えたぎって、素粒子たちをひっきりなしに生み出してる。


つづく


※1 素粒子はそれぞれにいろんな場を持ってる・・・と言うよりも、場こそがそれぞれの素粒子そのものだ。

例えば、電磁場(電気と磁気は同じものだ)の震えは光子という波であり、この素粒子形成の過程を「場が量子化される」と表現する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る