第11話・グルーオンって
11・グルーオンって
ここからいよいよ素粒子・・・極小に刻みきった「物質のタネ」であるクォークから、いっぱしの物質といってよろしい「原子」までを組み立ていく。
このお話の最当初の頃に、「クォークは三つ集まって、原子核内の陽子と中性子を構成する」と書いたよね。
まずは手はじめに、そいつをつくってみよう。
・・・とその前に、実はここでもう一種類の素粒子が関わってくるので、ご紹介だ。
素粒子とは、何度も書くようにつぶじゃなく、波打つエネルギーなんだった。
そんな純粋な、「力」だけを持った素粒子だよ。
質量がゼロで、姿かたちもなく、クォーク同士の接着剤の役割りに特化した素粒子なんだ。
その名を、「グルーオン」という。
グルーは、「のり」って意味だ。
その名の通りに、磁力の100倍というものすごい引力を発揮するんだ。
そのかわりに、発揮する引力が及ぶ範囲はものすごく短い。
素粒子同士がまさに触れ合わんとするところまで近づかないと、働かないんだ。
遥か永遠の彼方にまで及ぶ(けどめちゃくちゃ弱い)重力とは、えらい違いだ。
この接着剤素粒子が、クォーク同士の間に介入して、三つをくっつける役割りを果たす。
ぴた、ぴたーん!
この働きこそが、前回に書いた「素粒子間の相互作用」だよ。
クォークとグルーオンは、相互作用し合って、ひとつの仕事をする。
そして、ひとまず定位置を持つ。
素粒子たちの役割りとは、「パウダーでいる」ことじゃなく、実際にはこういう地味かつ実質的なやつなんだ。
つづく
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