第10話・光って

10・光って


波(量)が一点に収縮して位置を持つと、それは物質になる・・・というわけでもないようだ。


それは「つぶ状の現象」なのであって、厳格な意味での「つぶ」ではない。


クォークもまた、単独では物質とは言い難い。


「すべての物質は素粒子からできている」という論法を裏から読んでも、クォークは物質ではない。


素粒子にはいろんな役目があって、クォークは「人類が『物質』と認識できるタイプのマクロ構造体における最小部品」という役割りを担う。


クォークは「たくさん集まると物質をつくるが、個別の本人は物質とはいえない」のだ。


それにしても、物質でないもの(波・エネルギー量)を、どれだけたくさん集めて固めたとして、それは物質になるものなのか?


まったく、この世は直観とはかけ離れたマボロシそのものだよ。


ところで、アインシュタインさんが光量子仮説で取り上げた「光子」は、電磁気力を媒介する素粒子だ。


普段(でもないが)波として空間上に広くひろがって震えてるこの子は、大きく波打って電波になったり、ちょっと波長を詰めて可視光になったり、もっと短く強く震えて紫外線になったり、もっともっと小刻みに強烈に震えてX線になったりガンマ線になったり・・・といろんな波長で過ごす。


それが、最高度に短い震え方をするとき・・・それは逆に「まったく震えなくなったとき」と言っていいが、要するに一点にまとまる。


その瞬間、光子はついに素粒子に・・・別の言い方では、純粋な光となって位置を持ち、直線的に進む。


この波の収束こそが、量子の性質だ。


そこでクォークだが。


一点にまとまったこの子の役割りは、光ることでも、くっつけることでもなく、とにかく物質の素材になることだ。

具体的には、「物質を構成する原子の中心に位置を得る」ということだが、いったいどうすればいいのだろうか?


ここに、素粒子特有の「相互作用」という現象が出てくる。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る