第7話・波動関数って
7・波動関数って
なんだか難しいことになってきたけど、今話してるのはシンプルな「素粒子」、つまりこの世界でいちばん小さな一個のつぶなんだってことを思い出して。
ただ、今やその存在は、人間界(スケール)の常識にはおさまらない。
小さな子たちのどんな振る舞いも許容するおおらかな気持ちで、ここから先の説明に備えてちょうだい。
さて、量子(素粒子)は姿を現す際に、広々とひろがった波を一点に集約させ、コロリとつぶ状にまとまるんだった。
だけど、ひろがる波のどこに実体をひそませてるのか・・・つまり、どの位置で固まって出現するのかは、観測の瞬間まで教えてくれない。
つぶは、観測した途端に、突如として「どこかの一点」に出現する。
その厳密な位置は、確率でしかわからないんだ。
古典的に考えれば、この現象は「量子の実体は、広いエリア(波)に薄くひろがってる」が、「ひとに見られることを合図に、ピンポイントに集中して固化する」と見える。
だけど、不確定性原理によると、その考え方は根本から間違ってる。
量子の実体は、広々とひろがった波の中の「あそこにも」「そこにも」「ここにも」「どこにでも」同時に存在してるんだ。
分身した何人もの実体が並列に存在してる、とでも言えばいいのかな。
一方で、波の中のあちこちに、姿を現す確率の高いところと低いところが設定される。
例えば、当たり前に現れるであろう場所(電子なら、原子核を周回する軌道内とか)には、極めて高いオッズが割り当てられる。
が、「まさかそんなところに?」という低いオッズの場所にも、しれっと現れる(そこにだって並列で存在してたんだから)。
すべては確率の問題で、そのオッズはシュレディンガーさんが考えた「波動関数」ではじき出される。
例えば、ひとつの箱の中を仕切りで二部屋に分け、部屋間を行き来でき、両部屋の波動関数による確率を「50・50」とすると、一個の量子は「こちらの部屋とあちらの部屋の両方に同時に」いる。
そして、フタを開けた(観測した)瞬間に、どちらかの部屋にいることが事後的に確定する。
だけどその寸前までは、彼女はどちらの部屋にも同時にいたんだよ。
謎すぎ・・・
つづく
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