第6話・光量子仮説って

6・光量子仮説って


むかしから、小さなつぶが波のような性質を見せたり、波としか思えない「光」がつぶのように振る舞ったりという不思議な現象は、科学者たちを悩ませてた。


ニュートンさんは「光はつぶだ」と言って、光のスペクトルをエネルギー順に分割して虹の七色を検出したけど、それをくつがえして「光はつぶ状に固まった波だ」としたのが、またしてもアインシュタインさんだ。


彼は、特殊相対性理論と同時期に発表したこの「光量子仮説」の方でノーベル賞をもらったんだよ。


これで二律背反の「どっちなんだ問題」にケリがつき、事実上の量子力学がはじまったんだ。


それにしても、光は波であり、つぶであり・・・要するに両方だったとはねえ。


それは、光量子仮説によればこういうことなんだ。


光は、姿かたちを持たない純粋なエネルギーの振動だ。


その強さの大小(エネルギーのボリュームと言おう)は、飛び飛びの値を取る。


つまり、光が持つ「量」なるものは、「弱い」から「まあまあ」そして「強い」までの連続したボリュームでつながってるわけじゃない。


水面に立つ波は、水を手で掻くことで、だんだんと滑らかに、連続的に大きくなっていくよね。


小さい波が、いきなりモノをすげ替えたように、ぴょん!と大きくなるわけじゃない。


ところが、波と見える光の強さは、数値が整数倍でぴょんぴょんと飛んでるんだ。


整数は、小数や分数や無理数(コンマ以下が限りなくつづく数)などすべての実数が連続する数直線の流れの中で、離散的(飛び飛び)に置かれてるよね。


そんな具合いに、光の強さは、1から2や3にいきなり飛ぶ。


エネルギーが一定の量でひとくくりにまとまってるから、つぶに見えるんだ(「量子」と呼ばれるゆえんだ)。


というわけで、ひとつの数値の整数倍のエネルギー量を取る光は「たくさんのつぶである」と考えることができる。


つづく

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