第5話・不確定性原理って

5・不確定性原理って


ちょっと今からへんなことを言うから、身構えて。


前回まで、量子の正体を「波のひろがりが、空間上の一点にギュギュッとまとまったもの」と説明したよね。


そうして、波がつぶになる、と。


だとしたら、「つぶになる」のはどんなときだと思う?


それはね、「ひとに見られたとき」なんだ。


・・・まてまてまて、去らないで、冗談を言ってるわけじゃないから、もう少しつづきを読んで。


波の形に散らかるエネルギーが凝縮して、粒子の姿に物質化する・・・というのは、ハイゼンベルクさんの不確定性原理という式で証明された、量子力学の最もベースとなる理論だ。


広々とひらいた波が瞬時につぶになっちゃう現象は、簡単な実験で確認できる。


だけど、この「つぶになる瞬間」が、深遠な謎に包まれてるんだ。


なぜならその変わり身は、「ひとにのぞかれることをスイッチにして」発動するというんだから。


何度実験をしてみても、波はひとがのぞいた瞬間に・・・あるいは観測機がとらえた瞬間に、「観測収縮」を起こしてつぶに化ける。


なのに、観測しなければ・・・つまりひとにのぞかれなければ、波は波のままなんだ。


要するに量子は、波とつぶとの両方の姿を使い分けてるようだ。


そして、どういうわけかそのヘンシンは、ひとに見られる際に起こる。


しかもそれは一瞬の出来事で、なんとなんと、光の速さを超えるほどの素早さなんだ!


まったく、アインシュタインさんの相対性理論(光よりも速いものは存在しない)が、ついに「古典物理学」と言われてしまうわけだよ。


つづく

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