第5話

5話

◉散歩


「アナタのこと見テタの分かってた?」


「うん、…きみ日本語」


「少しナラできる。私、アナタに買われたい。2000香港ドルでいかが?」


「2万円かあ。キミくらい美人ならそれも安いんだろうけど生憎そういう予定はないんだよ」


「でも、私買えば案内できるよ。少しナラ」

「そうか。でもいいや。冒険も好きだし」


「ボウケン?」

「あ、ごめん。難しい言葉使ったね。まあ、歩くのが好きってことだよ。知らない道の散歩」


「あー、散歩ネ。じゃあ私散歩付き合う」


外国語は話せない僕だが、外国人と話せないわけじゃない。

 日本に来てる外国人は日本語をある程度勉強してる人が多くいる。その人たちに駅どことかハンズどことか池袋で働いていた頃は聞かれまくる毎日だったので外国人の共通点を知ってた。それは、漢語は伝わらない。だ。あくまで和語だけで話しかける。小学生と会話するつもりで。そうすると話が通じるものなのだ。


「付き合わなくていいって!」

「いいデショ別に。タダでいいカラ」


 タダ?どういうこっちゃ。娼婦なんじゃないのか?


「まあ、タダならいいよ。じゃ、散歩行こうか」


「Goー!」


 なんだか陽気なロシア人が仲間になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る