第2話「恐怖のコウモリ男」

 Side 鮫野 シンイチ


 鮫野 シンイチの元に次々と謎の巨大コウモリによる拉致、襲撃事件の耳が届いた。


 こんな事するのはブラックZしかいないと、先人(?)も言っている。


 警察は捕獲作戦を実行しているようだが失敗に終わっているようだった。


「これもブラックZの仕業か?」


 塚本のオヤッさんの一言に俺は「でしょうね」と返した。


「キャラメルラテ上手い」


 そして呑気にシュモクザメのモッ君はキャラメルラテを飲んでいた。

 甘いのが好みらしい。

 

「しかしどうする? パトロールでもするか?」 

 

「それしか無いですかね?」


 頭を悩ませるオヤッさんとシンイチ。

 モッ君は「難しいことわかんない」と言っている。しゃあないな。



 =夜・繁華街=

 

 SNS社会は色々と問題があるが便利だ。

 謎の巨大コウモリの活動予測範囲やこれまでの事件現場の詳細なども載せられている。


 しかし改造人間になったとはいえ、移動も一苦労だ。

 サメバイクは目立つのでフレンドに置いてきた。

 勝手についてきたモッ君は周囲から視線を浴びているがもう放置しておく事にした。

 

 =夜・公園=


 そして人気のない夜の公園に入る。

 次の事件現場予測の一つだ。

 マスコミやら警察官やら動画配信者、野次馬などでごった返しているのでその場から離れた。


『現れたな!! 鮫野 シンイチ』


「うわっ。そっちから現れた!?」


 モッ君は呑気に「悪いのきた」とか言っている。

 現れたのは翼にコウモリの羽を生やした怪人だった。

 マッシブである。


『俺の計画を嗅ぎつけるとは中々の物だ、褒めてやろう!!』


「そりゃあんだけ騒げば嫌でも嗅ぎつくわ」


 モッ君は「シンイチ、偉い」と褒めてくれた。

 そして変身。

 巷にはシャークマンと呼ばれている姿になった。


『俺は吸血すればするだけ強くなる!! 今ではもはやお前すら上回っているだろう!! そしてお前を誘き出して一網打尽にするのが俺様の計画だ。さて、知ってしまったからには死んでもらうぞ』


『クモ男と言い、親切だな――』


 などと不思議な関心を抱いた。



『グハ!!』


 俺はパトカーのフロントガラスに叩きつけられる。

 モッ君も吹き飛ばされた。

 戦闘員が現れ、警官隊が銃を乱射しているがスグに打ち止めになった。


『その程度か鮫野 シンイチ!!』


『クモの怪人より圧倒的に強い――パワーアップ計画ってのもハッタリじゃねえか』


『モッ君頑張る』


 二人はよろめきながら立ち上がる。

 ここで倒せなければ被害が余計に出てしまう。

 そんな時に現れたのは――


『グハッ!?』


 サメバイクだった。

 最高時速893kmの体当たりがコウモリ男を側面から轢き飛ばす。 

 コウモリ男はゴロゴロと転がった。

 

 その隙に二人は何処からともなくチェンソーを取り出す。


『今度はこいつでいくぜ!!』


『チェーンソーで真っ二つ』


 そして二人はチェーンソーを持ってコウモリ怪人に突撃する。

 武器を持ち、そしてサメバイクの援護が入ったことで形勢が逆転。

 次々と攻撃する。

 だが流石は改造人間、チェーンソーの攻撃を受けて火花が散り、出血を起きるも死にはしない。


『クソ、ここは退くぞ!!』


 状況の不利を悟って逃げ出すコウモリ男。

 シンイチは逃がす気はなかった。


『追うぞ!!』


『ついせき~』



 =コウモリ男・アジト=


 二人はサメバイクに乗り、コウモリ男を追撃する。

 オートバイや黒塗りのベンツ、ハイエースに乗った戦闘員を次々とチェーンソーで蹴散らしながら辿り着いたのはコウモリ男のアジトであった。

 

 戦闘員を薙ぎ倒し、待ち受けていたのは捕らえられた人々とコウモリ怪人だった。


 何か抜けて居るところはあるが流石は悪役と言ったところだろうか。


『こいつらは俺様のために血液を提供する餌よ!! この秘密基地の存在を知られたからには生かしてはおけん!! ここを墓場にしてくれるわ!!』

 

『本当に毎度親切にどうも!!』

 

『俺達が勝つ。えいえいおー』


 俺とモッ君はチェーンソーを片手に斬りかかりに行った。

 

『クソ、パワーダウンさえしていなければこんな事には――』


『パワーアップと言っても時間限定だったな』


『これはチャンス』


 モッ君の言う通りこれはチャンスだ。

 

『決めるぞ!!』


『おう!!』


 まず俺が飛び蹴りをかます。

 続いて時間差でモッ君が怪人に飛び蹴りを直撃。

 コウモリ怪人は火花を吹いてその場に倒れこみ、爆発を起こした。


『素晴らしい性能だ。流石は我がブラックZの最新鋭の改造人間な事はある』


 おどろおどろしい声が基地内に響いた。


『私はブラックZの首領。貴様はこれまでクモ男やコウモリ男を倒したようだがいい気になるなよ。そう遠くない未来に必ず貴様を倒す改造人間を作り出してやる。それまで平和に暮らすがいい。フハハハハハハハハハ』


 そう言って一方的に会話を終わらせた。

 モッ君は「俺、負けない!」と闘志を燃やしていた。



 基地に捕らえられた人々は全員無事とは言えないが解放された。

 俺達はフレンドに帰還する。

  

 次なる戦いを予感しながら――

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