2話
何なんだ、このスゴいイベントは。
白鳥とカラオケ。しかも二人きり。しかもしかも密室で四時間も。これは明らかにデートなんじゃないか。いや今までだって、二人きりの時は沢山あった。白鳥邸で夕飯作りをする時もそうだ。でも、もうそれには慣れ、完全に日常の一部と化している。
白鳥と二人きりでカラオケなんて、どんなご褒美イベントだよ。神様ありがとう。……あれ、もしかして、おれ明日死ぬんじゃないかな? 神様が最後のプレゼントとしてくれたものじゃ……。というか、殺されるな、烏丸に。「おれ昨日、白鳥とカラオケに行ったんだぜ。しかも密室で二人きりなんだぜ」という自慢話をしたが最後、完全犯罪的なトリックを使って殺されるな。
マジ怖えー、烏丸……。ってのは、さすがに冗談だ。
「まあ、とりあえず歌えよ。おれ聞いてるからさ」
「あら、あなたは歌わないの?」
「おれはいいよ。お前の歌の練習だし。……あ、でも歌いっぱなしは疲れるよな、おれもたまには歌うよ」
何せ四時間もあるんだからな。歌を聞いて感想言うだけでは、さすがに飽きる。
「そうね。では早速……」
白鳥が曲探しを始めた。何歌うんだろう……。でもまあ、あいつの好きなジャンルは分かってるけどな。
「♪~~~(何を歌っているかは想像にお任せします)」
一曲目。八十九点(精密採点)。
「うん。上手い上手い」
「え、それだけ? ほら、もう少しあるでしょう、ここの音程がちょっと変だったとか」
「いや、おれ音程とかはよく分かんなくてさ。そういうのは、その精密採点君に聞いてくれや」
「本当、使えないわね」
だったら連れてくんな、と言いたかったが止めた。
「悪かったな、使えなくて。……あー、でもさっきの歌本当に良かったぜ。声が、可愛かった」
「え? あ、そう……」
ぷい、とそっぽを向く白鳥。
「おいおい、褒めてやったんだから、ちょっとは嬉しそうにしろよな」
「う、五月蠅いわね。……ほら、次の曲を歌うから、今度はもっとマシな感想を考えておきなさいよ」
「はいはい、分かったよ」
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