第18話

お宅のノエちゃんすごいですね。

ちゃんと右見て左見て渡るんですよ。


優しい動物病院の獣医の補助の奥さん。

ノエは轢かれずに、家出もせずにおよそ14年ほど。この家にいてくれた。

家には無職の危険な娘いがいまだ誰もいない。

痙攣を20分もほうっておいて、ぐったりさせた。最後に刺されるはずだった、抗生物質の注射は、自分達の惰性で1回減らしてあげられた。いろいろある。言われれなければならないことが。   


「ひゅああぁ、」


息も絶え絶えだったのにも気づかなかった。痙攣が止まったからか。ノエは不規則なリズムで呼吸に専念している様だった。

このがああ、っは、ノエの苦しみだ。

8月は暑がって、あまり外にノエを外に出してやれなかったな。


「ノエ、あした外行く?」

「がああっ!!!」


私をしっかり見据えてノエが答える。


今のは、紛れもなく返事だ。うるさいのかもしれない。



「じゃあ!明日外行こっかっ!」


涙を堪えてノエに語る。

「ゲージのまわり、掃除しちゃうね。」落ちている埃や髪の毛をきれいにしといてやりたかった。


ゲージの裏側の床を拭く。「がああっ!!」


ゲージの前に向き直る。ノエが止まっていた。

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