第6話

秋か、冬だったと思う。

ふいに楓がきえてしまった。

かえってこなくなった。


この家の人間は、日光浴と気まぐれで、家の猫を外に出す。父が毛が抜ける時期を嫌うのもある。


それでもオレは扉を引っ掻いて開けてもらうし。

やんちゃたちは網戸を爪で引っ掻いて窓を開けてもらい、家に帰る。

楓のやつは特別だから、窓の桟に飛び乗っただけで。


かえでちゃーん!!


と言われて開けてもらえる。

ぜんいん、5分から10分で出て帰って家に入れてもらえるのだ。2、3日帰ってこないなんてびっくりすること、残念に思うこと、心配に思うことをしたのはなんと一度だけ、楓と。やんちゃなオスのまだ若いキジトラだ。


ここでやっと。オレ以外の6匹と、それから更に流れてくる野良猫ナオトインティライミとその仔猫6匹。総勢、楓も入れて14匹の、


そう、14匹まで増えてしまった猫屋敷のような我が家を紹介せねばならない。しかし、そこは団地の一階なので猫団地だ。団地を屋敷と呼ぶのはちょっとおかしい。

無論、猫は飼ってはいけない決まりだ。

みんな団地中、猫のかわいさに惑わされて、いけないと思いながら何もいえなくなっていた。


それに、この家だけじゃなく、2009年よりずっと前。2003年か2002年、そんくらい、この家での猫の歴史は遡る。

楓が帰ってくるのを灼けたようにひりつく喉で待つ。

楓の前にもいなくなった奴がいて、2、3日か、2ヶ月か、時間の流れは分からない。でも今日のことは喉の痛みでわかる。

オレは丸くなって寝ようとして、やっぱり窓の外を警備する。

次の話は、この家にいた歴代の猫の話だ。

その話と白いぽやぽやと楓の話。

そしてナオトインティライミとの事のあとでは。

物語は佳境になる。

家出だろうと、必死に人間家族はぽやと楓を探した。足りなかったが。

でもそれは、オレの最期の前に、大切なことに、危ない娘もやっと気づくので次はまあとりあえず2013か2014年くらいの話になるか。

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