第2話  チュートリアル【三人称視点】

「へえ、ここがDtDのスタート地点かあ」


 そう呟く少女の前にはだだっ広い草原が見えていた。

 それに呼応するように声が響いた。


「ほっほっほっ。ここはまだスタート地点ではありませんぞ。ここで設定をして頂き、チュートリアルを受けてからが始まりですわい」


 少女が振り向くと灰髪の紳士然とした老人が立っていた。


「種族、見た目、ステータスが設定出来ますぞ。ゆっくりと決めてくだされ。ところで…お名前を伺ってもよろしいですかな」

「あっすみません、失礼しました!えーとヤオ、ヤオって言います!よろしくお願いします!お爺さんはなんて言うんですか」


 老紳士は笑いながら「焦らんでもいい、わしは管理AIのグレイじゃよ」と告げた。


「あ、ありがとうございます…」

「設定はそこからできるぞい」


 ヤオは照れ隠しをするようにいつの間にか現れていたウィンドウに小走りで向かい動かし始めた。

 そしてヤオの操作が終わるのは高く昇っていた日が西に傾き始めた頃であった。

 老紳士が管理AIでなければ待つのをやめていたであろう。

 少女の見た目はいつの間にかリアルから変わっていた。

 グレイを振り向き揺れる黒髪ショート、平均よりも大分小さい保護欲を刺激される身長、頭に乗る猫耳、何より目を引くのは強い意志を感じさせるツリ目である。

 管理AIはそんな少女の魅力には引っかからないようだ。


「お嬢さん、設定は終わったかの。では、チュートリアルに入ろうかのう」

「はい!何からすればいいですか」

「そこにウルフが出現するので倒して欲しい。普通の戦闘と違ってHPやMPは気にしないでも大丈夫じゃよ」


 そこからしばらく、ヤオはヤオが就いたジョブである格闘士の基本的な動きや倒した後のドロップ品などの処理を教わっていた。


「それでは最後にウルフの群れと戦ってもらおうかの。戦闘の内容によって評価が変わるから頑張るんじゃよ」

「はい!」


 ヤオはこれから激しい戦闘が起こるとも知らずに元気よく返事をした。




初期設定時ステータスーーーーーーー

▼Name:ヤオ

▼Age:16

▼Race:獣人(猫)

▼MainJob:格闘士

▼Status

STR:20(+10)

VIT:15(+10)

AGI:70(+20)

INT:0

DEX:35(+10)

LUC:10

▼Skill

【格闘術Lv.1】【加速】【見切り】【視力強化Lv.1】【殴打Lv.1】【蹴Lv.1】【掴みLv.1】【疾走Lv.1】【採取Lv.1】【鑑定Lv.1】


()内は種族値ボーナス

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