第25.5話 小噺 day17 小岩魔人殲滅時
メイドさん―セレアは少し困惑していた。
『どうして
セレアが動揺していたのは、突然の小岩魔人が出現したこともそうであるが、それ以上に意識が向いたのは...
『紅様が...こんなに近くに...』
セレアは必死に平常心を保っていた。この数日、セレアはクラウス商会会長のショームにわざわざ頼んで請け負ったこの仕事、旅人・紅様、シズクの接客及び護衛である。そして、どうして自分が名乗りを上げたのか。それは、初めて紅たちがこの国に来た時である。
「
突然、館の門までの道が明るい希望をもたらすような、そんな光の道になった。そして、もうすぐ帰国するはずだったクラウス商会会長のショームが帰還する。交易品は少し損害を受けているようで、馬車を運転する者も少し疲労を見せていた。しかし、その商人達の顔は笑顔で満たされていた。
「よしっ!無事ついたぁ」
「本当にありがとうございます紅様!なんと、お礼をして良いやら...」
そんな、旅人とショーム会長が会話する声だった。
「お早い帰宅ですねショーム会長。」
そう淡々と会長に挨拶をする。しかし、会長は自分への挨拶よりも恩人の案内を優先するように指示してきた。
それが、最初の出会いである。
「それではご案内します。部屋の要望などはございますか?」
「二人で一部屋欲しいんだけど...大丈夫ですか?」
「諸事情で、どの部屋にもベッドが1つしかないのですが...」
「それで!それでお願いします!」
隣にいた蒼い髪の女性が突然申し出てきた。少し言い合いをしていたが、気にせずそれを受け入れた。
「先程の光は御客人様が出されたものですか?」
さらっとその質問をしてみる。自分の希望を確かめるために。
「御客人様ってなんか固い...。はい!できるか分からなかったけど、折角だからと思って試してみたんです」
そう簡単に言った。試しに「もう一度同じようなもの見せていただけませんか?」と聞いてみると、
「
簡単に単語を言うとそれが目の前に現れた。それは、まだ、セレアにとって許容の物であったが、もう一つの事実によって、それはセレアにとって許容のできないものになる。
「私の
『波動観測』
セレアの能力は、紅の能力と同じような言い方をすれば、【波動】である。その能力で、紅の能力を見てみたのだ。
『これは...まだ底がないような...しかも...神の波動?』
紅に流れていたのは、未熟ながらも大いなる力がよく分かる波動、そして、今この世にほぼ確認されていない、神の波動であった。そして、セレアにはその波動に因縁があった。
『なるほど...運命ってことか...』
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