第24話 day17
「これって、アクセサリーですか?」
目の前にあるのは、キラキラと輝く宝石である。紅は案内されるがままに入った建物(というよりは地下なので部屋という方が良いのかもしれない)でそれを見た。
「はい。この国では鉱山都市の名にふさわしく、様々な鉱産資源が採掘されています。その中でも、色付きの半透明の鉱物はアクセサリーという物に加工されて販売されております。基本的には高価なものとして扱われておりますが、この国では成人とともに一人一つ配布されます。」
そんな説明を受けながら、まじまじとアクセサリーを眺める。
『これって、エメラルドっぽいよな...。これは、サファイアかな?』
なんてことを考えていると...
「いくつかご購入なさいますか?」
メイドさんがそう言ってきた。
「でも...高いんですよね?私、あんまりお金なくて...欲しいものもあるので...」
「それでは私がご購入いたしましょうか?」
「いやいや、そんなおかえしができな、」
「こちらはどうでしょう?」
そう言ってメイドさんはとあるアクセサリーを勧めてきた。
『こういうのはブレスレットって言うんだっけ?なんて言うんだろ...』
なんて考えていると、「ブレスレットはお好みじゃないですか?」とメイドさんが聞いてきたので気にしないことにした。
「いえ、素直に綺麗だなぁって...」
それを聞いたメイドさんは、「すみません、これをお願いします」とお店の人に言った。
「ほんとにいいんですか?」という紅の質問に「これは、この街で出会えたお祝いですよ。どうしても気になるなら、これからも私に会いに来てください。」と言ってきた。
『恩を売っておくことでリピート客にするってことか...ナルホド...』
そんなことを考える紅だったが、安心して頼みごとのできるお店があるのも良いことだと思い、「そんなことでいいのなら...今後ともよろしくお願いします!」と了承したのだった。
それからも、いくつかのお店を回った。レストラン、のような場所で二人で食事もした。ほんとはシズクとデート感覚で歩きまわる予定だったので、途中で『浮気...』なんていう罪悪感も感じなかったが、肝心のシズクが起きなかったのだ、しょうがない。
そして、お目当ての場所にやってきた。
「こちらからが現在採掘中の地点になります」
それは至って普通の採掘作業であった。つるはしで壁を殴る。砕けた破片を回収し運ぶ。馬車が二台ほど通る幅で並び採掘を行っている。しかし、少しだけ不思議なことに気づく。
「天井が崩れてきたりしないのですか?」
紅はそんなことを聞いた。それを今から説明しようと言わんばかりに、メイドさんは説明してくれた。
「あそこに壁に触れている方がいらっしゃいますよね?」
そう言われて見てみると、確かに壁に寄りかかって両手を張り付けている人がいる。
「あの方々は何をなさっているのですか?」
その質問に、メイドさんは応えてくれた。
「あまり広めすぎると良くないのですが、あの方々は
他にも気づかなかったが、
そんな面白い話を聞けただけでも十分である。ただそれでも違和感を感じた。
『大勢っていっても、国中の土砂を操作することって可能なのかな?』
自分でもいろんな能力をたくさん使ってきたから分かるが、きっとかなりのエネルギーが必要になる。それをどうやって
「やっぱり、異常だと思いますよね」
メイドさんはそう言った。
「わたしも、そんなに大勢の土砂を操る
紅はどこからそんな膨大なエネルギーが異様で来ているのかが違和感であったが、メイドさんはどこにそのような大勢の能力者を集められるのかという違和感であった。若干、視点は違うがだいたいは同じ内容である。
「まぁそんなことは置いといて、もう少し見学なさいますか?それとも、」
メイドさんがその続きの言葉を発そうとしたその瞬間、採掘中の鉱夫たちが慌てだした。
「
「なんか数が多いぞ!」
そんな慌てふためく鉱夫たちを横目にメイドさんが反応する。メイドさんが目を向けた方には小さな石の人形たち。
『えっと、わりと可愛いけど...危険なのかな?』
様々な形の岩石の人形が走り回っている。中には、異様に輝いている
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