第19話 day15,16
『世界は、人間、魔物、神の三種族が大きな勢力によって均衡が保たれていた。記録にも残っていない程太古の昔、そこには、平穏に、そして共に暮らす三種類の種族の姿があった。』
これは、この世界の歴史である。歴史書にはこの世界の成り立ちが綴られていた。
『もちろん、種族によって文化の違いや勢力内の内乱も歴史にはある。かつて、神々による分断戦争が起きた。その時、三種族は対戦を引き起こした。とある数人の神によって内乱が起きたのだ。それを始まりとして、数々の乱戦が起きる。数十年の戦争が続き、ある日、それはやってきた。』
「未確認生命体...」
『未確認生命体、名付けて「
別の伝記には、もちろん人間、魔物、神それぞれ特徴がある。
人間、それは蓄積。最も無力であり、最も強い。個の力は微弱ながらも、過去から学ぶ蓄積と、個と個が繋がるその力で強大なる力にも立ち向かう。
魔物、それは種類。
神、それは完全。群れず、そして孤立しない種族。それぞれが
『日が経つにつれ、未確認生命体は力を強くなりだした。気づけば、その力は強大で手に負えないものとなる。人間の結束力、悪魔の特殊能力、神の支配力。それらを飲み込んでいるのだ。それは、足りていないモノを合わせたようなもの。それに対抗するべく、三種族は、互いの強みを尊重して、協力した。結果、多くの代償と共にその問題は解決した。』
「神々は大半が消滅し、多くが力を失った。魔物は知性を失うものが増え、殺戮や暴力を行うものが増えた。人間は、結束力に偏りが生じ、一つではなく、小さな集団での結束を行うようになった...か。なんとも残酷な世界だ。」
紅は、数十冊の本を読んだ。
シズクに声をかけられた頃には、外は暗くなってきていることに気づいた。
そのまま、図書館を後にする。
『能力ヲ獲得【存】』
今日も、図書館へ行く。
今日読むのは、エネルギーについてである。
この世界には、魔力、
そこにおいて、魔力は神力に、神力は気力や魔力に強い。この関係性だけをみると、明らかに神力が強いのだが、魔力も種類があり、神力も種類がある。細かく分けたら互いに強いのである。そして、気力。これは、魔力や神力に対し、弱くも強くもない。もちろん相性はあるが、基本的に気にするほどの差は無いのである。ただ、気力には、明らかな違いがある。それは、内側に作用する特性が多いのである。
分かりやすく言えば、気力は身体、魔力は魔法や魔術、神力は能力への作用が強いということである。
「なるほど...でも、そんなエネルギー使ってる実感ないけど...」
その独り言にシズクは応えた。
「紅は、能力しか使ってないからだよ。紅ちゃんは...人間でも魔物でも神でもないよ。三種族の血が均等に混じってる。どれも使えるけど、紅はどれも使ってない。紅は、能力しか使ってない。使ってるのは、紅自身の体力と、元の守護神様の神力。そこに紅のエネルギーはほとんどない。」
それを聞いて、紅はなんとなく理解した。確かに、使うだけ使用できる限界は増えていた。ただそれは、能力を幾度と使い、森の中で身を守りながら生活し、毎日運動しながらの生活だったことで体力が付いていたのである。もちろん、村を出て、限界が一気に無くなった感じなのは、紅の中に取り込まれた守護神「ツバキ」の神力が流れ込んでいるからだったようだ。
「思ったより、自分の力じゃなかったんだなぁ...ちょっと悲しい...」
「何言ってるの?」
「いや、自分の力っていうよりかは、前の守護神の力ってことなら、思ったより自分って無力なんだn」
「それは勘違いだよ。今ではその神力も紅のものだし、ほとんど紅のエネルギーを使ってないってことは、使えるようになったときに、紅はもっともっといろんなことができるてことだよ。」
なんか慰められてるみたいで少し虚しくなった。が、実際慰められている。
「ちょっとずつその練習もしなきゃね。シズク教えてくれる?」
「...私...元が鬼人だったから、気力と魔力の扱いは分かるけど...最近締約神になって、まだ神力の扱い方を理解してないから...それは...」
「やったぁっ。じゃ、魔力と気力の使い方教えてね」
そこから、能力とは別の修行も始まるのだった。
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