第15.5話 小噺 day13 魔物襲撃時 

 緑の魔物による襲撃中。

 多くの商人や、護衛についていた者たちが、必死に耐えていた。

 そこに現れたのは...

 「御意」


 刹那、緑の魔物たちの首は一刀両断。地面に転げ落ちていく。追いついた紅の足元に...


 ゴトン...ギシギシギシギシ


 「ひぇっ...え?」

 足元に落ちた頭は、こちらを見ながら歯ぎしりをしていた。

 「ウッ...」

 気を失ったが、気を失っていない。

 「狂気・闘」

 小さな呟きと共に、紅が無双する。

 「風闘ウィンドバーサーカー

 紅は風のように走り去る。もちろん元々混乱している商人たちには見えていない。ただ一人を除いて。

 「やばいやばいやばい...どうしよう...ゴブリンに落とされた木箱じゃ...あッ...」

 「ghぐぇhghwhげいぐhうぇうghw...............」

 言葉とは覚えない声で鳴いていたが、突然静寂に包まれた。

 「喉元に...穴?」

 すると、少し離れたところに、紅が立ち止まる。近寄った、ゴブリンたちを瞬殺。原理は分からないが、何かをして、ピンポイントに喉を狙い、撃破する。そして、近づいてきて、倒れた。


 「えっと...その...大丈夫?」

 少年の声に紅は反応する。

 「あっ...ごめん...やられちゃってた?助けてくれてありがと...」

 「あっ、いや、助けられてのは僕で...聞いてない...」

 弁明する前に、紅は疲れて寝てしまった。


 数分後、起きて、残りのゴブリンたちを必死に撃ち抜いていたのも、紅である。


 少年アズマは、いろんな意味で見てはいけないモノを見たのだ。

 まだ、若い少年アズマ。明らかに狂っていて、それでも美しい女性。それは思春期真っただ中の少年には危険な姿だった。そのうえ、突然意識を失い、自分に寄りかかってくる女性。気の抜けた顔で、どこか可愛らしい。そして、少し時間が経って、目が覚めたかと思えば、慌てふためきつつも、戦いに戻り、さっきとは違い女の子感満載の女性。

 それらは、思春期真っただ中の少年には、感覚が狂わされる出会いだった。


 初恋...というのか、性癖がゆがんだ...というのかは、それぞれの想像に任せるしかない...

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