第6話 day6 Ⅰ
「やばっ」
焦って目を覚ますと、明るい光が差し込み始めたところだった。
「うぅ...」
部屋の隅で、謎に震えている焔(以後、ホムラとする)が目に入った。
「どうし...」
問いかけようとしてすべてを思い出す...
「横にきてほしいなぁ...」
苦し紛れに、守護神様の命令だと言い聞かせて、ホムラは一緒に横になってくれたのだ。
年頃の青年である。申し訳ない...以前に...こちらも...『恥ずかしすぎる...やらかした...』
「無茶言ってごめんね!あの、嫌だったよね?ごめんn...」
焦り気味で赤面していたかもしれない。それでも、ホムラは、
「えっと...その...楽しかったです...私で...すみません...」
申し訳なさそうに言った。
『楽しかったかぁ...よかっt...ちょっと待てよ...?楽しかったって...何をどこまでした?』
唐突に焦りと不安に襲われる。もちろん、決して、卑猥な意味ではない。決して。
そのまま朝食を摂りに行った。その間ホムラは何もなかったかのような感じだった。ただ、目が合うと目をそらしてくるくらいである。
朝食後は、外を出歩いていた。
いたって普通ののどかな村である。ここで毎日死者が出ているとは到底思えない。さらには、死者を出して何の得があるのだろうか、というくらいである。
『そういえば...今日の能りょk...』
『能力ヲ獲得【回】』
『絶対、私が言うまで反応するつもりなかったよね?』
『...』
返事もなく、ただただ沈黙があった。
「こちらになります。」
案内されてきたのは、医療施設。と言っても、思っていた医療施設とは違い、寝床が多数あるだけで、あとはほとんど置いてない。死者は種族や宗教にあわせて、火葬や埋葬などを行うが、死者以外に生きてるが起きることのないものが多く、そのもの達で病床が埋まっているらしい。
もちろん紅には、医療知識もない。どうしようもないのだ。
ただ一つ分かることがあった。
『【回】で良くなる...気がする...』
若干よくなった。本人たちのエネルギーのまわり方をいじると、心なしか楽になっているように見えた。
「すごい...!ありがとうございます、守護神様ぁ!」
医療技術のある者なのか、医者や看護師にあたる者のようだった。もちろん、正しいことかどうかも分からなかったので、ひとまず今できることができているようでかなり安堵した。
一日中、村を歩き回って得たものはあまりなかった。気絶している者はエネルギーか何かの循環が上手く行われていないらしい。それによる意識障害で目が覚めていないらしく、外傷内傷ともに無いことが多いため、ただの医療では治療が進んでいなかったことは分かった。その話も伝えたため、何かしらの対処ができるようになるだろう。そして、その情報をなるべく口外しないように頼んだ。もちろん、それが犯人捜しの手掛かりになるかもしれないからだ。
死者に明確な共通点もなく、特に明確な動機も見当がつかないという。死者は、首を切り落とされている者、体に穴があけられている者...強いて言うならば、物理的な外傷及び内傷によっての出血死だと思われる。つまり、得体のしれないポルターガイストではなく、何者かの攻撃の可能性が最も高いと考えた。
夜が来た。
お風呂もご飯も終えて、ホムラと会話をしていた時だった。
「そろそろ試してみるか... 探知...」
唐突に気づいたが、探知のレベルが上がっていた。比較的、細かく生き物の状態が分かる。以前は意識的に生き物の位置が点のようにが感じ取れていた感じだが、今は大まかな形や力の感じが分かる。怪しい者はいないか探ってみるが、特にこれといって違和感もない。強いて言うなら、この周辺には、ずば抜けて力のあるものが...四人いる。その内1人は自分。もう一人は...
「ホムラって戦闘得意なの?」
その質問に目を輝かせつつホムラは答えた。
「この村は種族を越えた関りがあるので、一概に強いと言い切れる強者は多くありません。種族的な体質や相性によって、単純な力で越えるには厳しい壁も存在しますゆえ。その中で、私が強いかと聞かれれば、単純な力だけで考えたとき、五本指には入れるのではと思います。」
「他に目立って強いやつはいるの?」
紅の質問に、
「私の幼馴染の
それを聞いて、道を一定の速度で歩いているのはそのシズクという者だと想像できた。もう一つ、道を歩いている者がいるが...
『明らかに犯人だよな...なんか、悪意というか...背筋がそわそわしてくるような雰囲気がある』
そんなことを考えていると、ホムラが話の続きを始めた。
「つい最近まで、常に横にいるような仲だったのですが、私が守護神様の護衛になってから話す機会もなくなって、それ以上に謎に機嫌が悪いみたいで...」
『嫉妬かな?私がホムラとくっついてるから怒られちゃってるのかな...それか、守護神の護衛という立場か...』
紅はここで、恋愛または実力、権力による嫉妬だと予想した。
『なんかお詫びしなくちゃな~』
そんなことを思いながら、何も起きないことを信じながら、一晩、話を聞くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます