第4話 動画の検討会
俺は別に桜子の事は何とも思ってない。
腐れ縁だと思っている。
しかしこうも不用心だと心配になる。
例えば間接キスとか気にしないのが、だ。
俺は苦笑いで目の前の目を宝石の様に輝かせている桜子を見る。
「おーいしい!!!!!」
「.....そうだな。確かに美味いな。このパフェといい飲み物といい」
「やっぱり来て良かったかも。これだったら着想を練れるし」
「.....ああ。確かにな。.....んで何か湧いたのか?」
「湧いたっていうか.....他の動画も参考にしたい」
こういうのは分析が一番だね、と笑顔になる桜子。
俺はその姿を見ながら目を丸くしていたが。
そうだな、と返事をした。
そして俺達は.....そのまま着想を練る為に話し合いを始める。
目の前の飲み物を見ながら。
「具体的にはどんな参考だ」
「.....そうだね。.....今ドベドベ動画の2位に居る人気のVチューバーを蹴散らしたい。よみこちゃん」
「.....!」
俺はハッとした様にその言葉に耳を傾ける。
そして思い出す。
その言葉を.....だが。
それは今日逢った時の事。
俺達に対抗心を燃やし.....そして見てきていた。
まるでそれは炎を激らせる様な。
『私は絶対に負けない』
と、であるが。
俺はその姿を誰かに映していた。
それが.....桜子だったのか。
ライバル同士って事だな。
「.....そうか。似た様な性格だな」
「?.....何をぶつぶつ言っているの?」
「.....いや。何でもない。.....すまない。じゃあ具体的な検討を始めるか」
俺はストローで飲み物をかき混ぜながら考えつつ話す。
すると桜子は、そうね.....、と笑みを浮かべる。
そして俺に向いてきた。
顎に手を添える。
「よみこチャンネルを蹴飛ばすには.....余程面白いのを作らないといけないな」
「.....そうだね。.....やっぱり参考にしたい。色々な動画。今の経験。全てを」
「同意だな。.....じゃあ正式に付き合うか?」
「当たり前でしょ。.....それは範疇だから」
「.....無茶苦茶だなお前.....」
範疇で付き合うなよ。
俺は心でビシッとツッコミを入れながら桜子を苦笑いで見る。
桜子は意を決した様にメラメラ燃えていた。
立ち上がる。
オーラが半端じゃない。
つまり.....赤いオーラであるが。
「負けない。絶対に負けたりしないもん」
「.....その意気だな。お前さんがそう頑張るなら俺も応援する」
「えへへ。有難う。邦明」
「どれだけあってもお前の幼馴染だからな」
俺は苦笑いを浮かべながらその様に手を広げて話す。
すると桜子は俺をジッと見てきた。
まるで鼻に何か付いているのを見る様に、だ。
何だよ。
「邦明。私のわがままに付き合ってもらってゴメンね。いつも」
「どうした。いきなりぶっ飛んでんぞ。.....何でいきなり謝る」
「いや。.....ふと思ったんだ。.....昔からずっと付いて来てくれるから」
「.....お前らしくない。大丈夫だ。.....俺はお前の幼馴染さ。これからも腐れ縁で宜しくな」
「.....うん。宜しく」
それから俺達は握手をし合う。
そしてそのまま.....パッド。
つまりア○パッドにて動画の検討を始める。
学生が多くならないうちにとっとと決めないと。
人もだが.....じゃ無いと素性がバレる。
☆
「っうーん!良い感じ!」
「そうだな。.....本当に良い感じだな。ネタとか纏まったな」
「うん。これから先、頑張ろうって気になる。.....だから有難い」
「目標の道はまだまだ先かもだけどな」
「邦明居るから大丈夫」
カフェを出てから歩く俺達。
歩道は薄暗くなっていた。
俺がそんな居てもどうしようも無いんだが。
そもそもに動画を楽しんでいるのはコイツだ。
ただ陰ながらサポートしているだけだぞ。
「.....邦明と一緒に居るとめっちゃ楽しいから」
「そんな恥ずかしい事言うな」
「.....えへへ。これって恋かな?」
「違う。腐れ縁だ」
そんな会話をしながら街灯がつき始めた様なアスファルトを踏み締めて歩く。
そして桜子の家に着いた。
桜子は笑顔で俺に向いてくる。
その笑顔は本当に花が咲く様だった。
「今日も有難う」
「.....気にすんな。.....楽しかったしな」
「.....そっか。良かったよぉ。アハハ」
「じゃあな。.....帰るから。おやすみ」
「うん。バイバイ!」
それから俺達はそのまま手を振って別れる。
そして帰宅していると。
あ。お兄ちゃん、と声がした。
目の前を見るとポストに手を突っ込んでいる菜花(なばな)が居る。
俺の2つ下の妹。
美少女の童顔中学生.....というか何している?
「ポストの掃除だよ。気持ちよく使って欲しいからね郵便局の人には。.....そういえばお兄ちゃん遅かったね?」
「.....ああ。すまん。用事があってな。ってかこんな時刻からやらなくても良いと思うが.....まあお前だしな」
「そうだね。.....アハハ」
俺達は苦笑し合う。
それからポストを閉めてから俺を見てくる菜花。
ジッと見ながら.....まるで顔に何か付いているのを観察する様な。
そんな感じで見てくる.....な、何だ。
「.....お兄ちゃん。何か良い事でもあったの?」
「.....特には何も?.....どうしてだ?」
「.....ううん。お兄ちゃんらしいお兄ちゃんだなって」
「.....は?」
お兄ちゃんらしいお兄ちゃん?
俺は?を浮かべながら菜花を見る。
菜花はニコッとしながら、なんでも無い、と切り出して雑巾を持ってから家のドアを開ける。
俺は首を傾げながらそのまま同じ様に家に入った。
人気の無い幼馴染のVチューバーの再生数の為にカップルを演じる感じで出演したらとんでもなくバズったんですが アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人気の無い幼馴染のVチューバーの再生数の為にカップルを演じる感じで出演したらとんでもなくバズったんですがの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます